ダムに沈んだ「ふるさと」写真展

ダムに沈んだ「ふるさと」写真展

 唐津市の写真家・宮崎多賀子さん(69)が佐賀市大和町の「湛然の里ぎゃらりーせせらぎ」で、1992年から96年にかけて佐賀市富士町周辺を写した写真を展示している。嘉瀬川ダム建設のため立ち退きになった地区の日常風景を切り取った写真89点が、ダムに沈む町で暮らしていた人々の笑顔を今に伝える。19日まで。

 宮崎さんは唐津市から佐賀市に行く途中に通る富士町周辺の町並みが好きで、92年秋ごろから月に1、2回、周辺で撮影をするようになった。初めは地区の行事など特別な機会に撮っていたが、徐々に何でもない日常風景も撮るようになったという。「その頃にはみんな(町がダムに沈むことを)承知して、心構えができていた」と宮崎さんは当時を振り返り、「みんな、どうしているかな。特に成長した子どもたちに会いたい」と懐かしがった。

 栗並地区の子安神社で住民がしめ縄を作る場面、大野地区の青年たちが七福神の格好で住宅を巡る様子、北山小学校の卒業式や住民総出の運動会など、モノクロ写真の向こうから当時の空気が伝わってくる。「写真に写っている住宅などはまだダムの下にあるの?」。来場者から問い掛けられ、宮崎さんは「取り壊された。形あるまま沈んでいたら、ダムが干上がった時に降りたくなってしまうでしょうね」と答えていた。

 福岡県から来場した相葉惠子さん(68)は「屈託のない笑顔を見せるおばあちゃんの、顔のしわがいい」と写真に見入っていた。

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