苦難の歴史を乗り越えてきたといえるだろう。サッカー・J1サガン鳥栖が発足し今年で20年の節目を迎えた。前身の鳥栖フューチャーズの解散を経て生まれ変わったのである◆思い出す光景がある。東京勤務の1997年、前身の運営会社の解散が確実になり、都内のJリーグ本部に日参。当時のチェアマン、川淵三郎さんに“ぶらさがり取材”を敢行した。ビルの外には、厳寒の吹きさらしの中、フューチャーズのユニホームを着たサポーターが存続の直訴にきていた◆「残してほしい」と悲壮な声を絞り出す。理事会の冒頭、川淵さんの「下にサポーターが来ているんだけど、上に上げてやらないといけないだろうか」との言葉が聞こえた。温かな人柄が会場の空気をつくる。5万人の署名も決め手になり、チェアマンによる「超法規的措置」で存続が決まった◆振り返れば2005年に「サガン・ドリームス」が運営会社となり経営が安定するまでは、苦しい日々を重ねた。地方の小さなクラブがJ1昇格も果たし、サッカーで夢や感動の輪を広げている。サガン鳥栖の存在自体が奇跡に近いとも思える◆Jリーグがきょう開幕する。鳥栖はベアスタで柏と対戦。主力の数人が抜けたが、攻守ともに補強がうまくいき上位進出も狙えそうだ。成人式を迎えたチームを精いっぱい応援したい。(章)

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