東松浦郡玄海町議会が九州電力玄海原発3、4号機の再稼働を容認した24日、町民の多くは「既定路線」として冷静に受け止めた。福島第1原発事故から間もなく6年。「原発の町」の意思は決議として示されたが、佐賀県内では県主催の住民説明会の最中。町民からは「なぜそんなに急ぐのか」と疑問の声も漏れた。

 「玄海町だけの問題ではない」「公開討論会を開くべき」-。町外から傍聴に訪れていた脱原発の市民グループが議会閉会後、町長室に押し掛けた。その直後、町役場を訪れた地元の解体業の男性(37)がつぶやいた。「遅かれ早かれ賛成すると思っとったけん、特に思うことはなか」

 原発とは共存していくしかないと思っている。「原発がないと生活が成り立たない人がかなりいるよ。その人たちの雇用はどうするの? 安全も心配だけど、そっちの方が心配」

 町によると1月末現在、町民5876人の約1割が原発施設内で働いている。関連会社の50代男性は「原発が止まって仕事や給料が減ることはなかったけれど、町全体が元気がなかったけんね…」。できるだけ早い再稼働を望んでいる。

 原発から約2キロの距離にある特別養護老人ホーム玄海園。古川伸子施設長(60)は「避難計画は、訓練を通してイメージが描けるところまで来ている。事故がいま起きたとしても対応できると思う」と話し、議会の判断に理解を示した。

 前のめりとも取れる議会の姿勢に疑問を持つ人もいる。唐津市での説明会を傍聴した玄海町民で、市職員の小野政信さん(60)は「せめて県民説明会が終わるまで待つべきだった」とため息をつく。再稼働には反対だが、賛成する人の気持ちもよく分かる。「でも、福島の事故以降、玄海町だけで判断できる問題ではなくなった。県内から今、いろんな意見が出ている。その声を無視するようなやり方は反発を招く。そうまでしてなぜ急ぐのか」

 町議会を傍聴した仲秋喜道さん(87)は注文する。「町長は『議会の意見が町民の意見』と言うけれど、不安を押し殺し、黙している町民も数多くいる。意見を丁寧にくみ、判断してほしい」

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