■健康で文化的生き方を

 「プレミアムフライデー」は政府が経団連などと連携し検討されたもので、月末の金曜日に早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらうという消費喚起策。デパートなどでセールが実施され、特別な商品やサービスの提供が24日から始まった。

 ところで、ヨーロッパでは年間休日150日以上、1カ月の夏休みは常識。私もニュージーランドに3カ月滞在した際、教授が「今から1カ月間、フランスで過ごすから」と夏季休暇をとっていた。それを目の前にしたとき、何か怒りを感じたことを覚えている。

 日本人のこころには、働くこと、苦労することに価値があって、楽しんだり休んだりするのは、いけないことという考えが根底にあると思う。広告最大手の電通で新入女性社員が過労自殺した。社員の残業時間は、記録上は月100時間を超えていた。入退館記録などをもとにした遺族側の代理人弁護士による集計では、130時間に達したこともあったという。深夜残業はもとより、翌日朝まで続く勤務や休日出勤も当たり前のように行われていたことは、容易に想像できる。またこの社員は上司からパワハラも受けていたらしく、それがさらにプレッシャーになっていたようだ。

 ヨーロッパ人は約70%有給休暇を使うが、ランキングでは日本は最下位(33%)となっていた。ヨーロッパ人は仕事が生活=人生に含まれないと考えているようだ。ヨーロッパ人にとっての休暇とは、仕事で時間に追われる日常から解放され、人間本来の生活、あるべき人生の姿を取り戻すためのもの。このバカンスに求めるものといえば、太陽。特に、夏でも肌寒い都心に住む欧州人は南の太陽を拝むために行く人が多いようだ。家族や恋人、友人と日常では味わえない「ゆったりとした時間」を過ごすという。私たち日本人も、健康的で文化的な生き方を再考することが大切。しかし、私はもうすぐ還暦。遅すぎたようである。(佐賀大学保健管理センター長・産業医 佐藤武)

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