リクルートワークス研究所が26日発表した来春卒業予定の大学生・大学院生の求人動向調査によると、企業の求人数は前年比2・8%増の75万5100人で、4年連続増加した。学生優位の「売り手市場」が続き、人手不足が深刻化している建設業や流通業の採用意欲の高さが目立つ。学生の大企業志向も強まっている。

 就職希望者1人当たりの求人件数を表す求人倍率は前年より0・04ポイント高い1・78倍で、6年連続して上昇した。同研究所は「就職しやすい環境なので、大企業を希望する学生が増えている一方、中小企業に学生の目が向かなくなっている」と指摘した。

 求人数を業種別で見ると、東日本大震災の復興事業や東京五輪関連の工事が相次ぐ建設業は7・3%増加した。スーパーや百貨店などの流通業は3・1%増。金融業は銀行の業績がマイナス金利政策の影響で悪化傾向にあるため1・9%増にとどまった。

 規模別では、学生の人気が高い5千人以上の大企業の求人は1・0%減少。千人以上5千人未満は4・8%、300人未満の中小企業は3・9%それぞれ増えた。

 一方、就職を希望する学生の人数を企業の規模別に見ると、5千人以上の大企業が前年の1・5倍の12万4200人と大幅増だったのに対し、300人未満の中小企業は33・0%減の6万6千人だった。

 調査は2~3月に実施。企業4509社と大学生・大学院生1622人の回答から、全体状況を推計した。

=用語解説= 採用選考に関する指針

 主要企業が加盟する経団連が大学生と大学院生の採用活動の日程などについて定めたルールで、罰則はない。2016年卒では会社説明会の解禁は大学3年の3月、面接の解禁は4年の8月だったが、長期化への不満が企業、学生双方に広がり、改定された。17年卒から説明会は3年の3月、面接は4年の6月解禁となっている。

■売り手市場、企業は採用活動前倒し

 会社説明会が解禁されてから約2カ月が経過し、企業間の学生獲得競争が過熱気味だ。早期に優秀な人材を囲い込むため採用活動を前倒しする傾向が強まっている。内定を約束する企業も出ているが、本命を重視して就職活動を続ける学生は多い。

 就職情報会社ディスコ(東京)の調査によると、4月1日時点で面接を受けた学生は61・5%で、前年の同じ時期から4・7ポイント増加。内定を約束された学生も14・6%と2・8ポイント増えた。

 主要企業が加盟する経団連の採用に関する指針は、説明会の解禁を3月1日、面接を6月1日とし、主に経団連に非加盟の外資系やIT、中小企業が面接を実施しているとみられる。

 既に学生数人に内定を約束している千葉県の中小企業の採用担当者は「積極的に取りにいかないと良い学生に来てもらえない」と指摘。「出遅れた」と話す神奈川県のIT企業は、4月下旬に面接を始めて5月上旬に内定を約束する予定だ。

 しかし、今年の就職活動は学生優位の「売り手市場」。企業側が急いでも学生は早期に就職先を決定するとは限らない。神奈川県の私立大4年の男子学生(21)は4月初旬に1社から内定の約束を得たものの「第1志望に入りたいので就活は続ける」と話した。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加