「声なき詩人」と呼ばれる堀江菜穂子さん(22)=東京都=は、寝たきりのベッドで詩を紡ぐ。生まれた時に脳性まひを患い、話せず、わずかしか動かない手で詩を書く。この夏、初の本格詩集『いきていてこそ』(サンマーク出版)が出た◆<いまつらいのも/わたしがいきているしょうこだ>で始まる表題詩は、彼女なりの決意と悩む周囲への励ましに満ちている。<いまのつらさもかんどうも/すべてはいきていてこそ/どんなにつらいげんじつでも/はりついていきる>。彼女は都立の特別支援学校に小学部から通い、自分の可能性を広げてきた◆今夏、佐賀県教委は自力通学が難しい児童生徒の通学を支援するため、県立特別支援学校6校でスクールバスの運行を始めた。保護者の苦労を考えれば、やっととの思いを強くする。委託する外部の乗務員に、障害のある子どもたちへの理解を深める研修をしての開始である◆どうすれば悩みを減らせるか。知恵を出し合うのが同じ社会に暮らす者同士である。「してあげる」でも「してもらっている」でもない。障害があって生きる姿は、誰もが暮らしやすい社会づくりに気づくきっかけになる。それが個性が尊重される社会だ◆<わたしはわたしのじんせいを/どうどうといきる>。そう綴(つづ)る堀江さん。障害とともに一歩、一歩である。(章)

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