■医療費助成、合宿所建設、子育て支援

 自治体の返礼品競争の過熱もあって急増したふるさと納税の寄付。寄付者の意向に沿った事業に充てるほか、厳しい財政状況にあった自治体は、子育て支援策など住民サービスの充実や独自施策を打ち出す財源にも活用している。総務省の返礼品を3割以下とする通知を受け、寄付額にどのような影響が出るかは見通せていない。

 伊万里市は市域が広く、インフラ補修費用がかさむため財政が硬直化傾向にあり、ふるさと納税は「恵みの雨」だった。2016年度は子どもの医療費助成や移動図書館車購入に用いた。合宿所を新設する基山町は総事業費1億3230万円のうち、4800万円を国の地方創生拠点整備交付金で賄い、残りはふるさと応援寄付の基金を充てる。

 少子高齢化が課題の太良町は、第2子保育料無料化や町産品を用いた給食の充実など、定住促進や子育て支援の財源に活用している。嬉野市は昨年度子ども学校塾事業など31件にかかった総事業費37億7206万円のうち、約10億円を寄付から充当した。

 江北町は本年度、学校給食費助成事業など7件の事業を全額寄付で賄い、充当額は7485万円。大町町は昨年度納涼祭り花火大会の事業費367万円に対し360万円を使い、本年度も同様に予算を組んだ。大町町の担当者は「財政規模が小さい本町にとって、貴重な財源」と重要性を語る。

 一方で各市町の議員からは「一過性の財源を恒久的な事業に充てるべきではない」との指摘もある。総務省通知に伴う3、4月の駆け込みでの寄付増額の反動や、返礼率の低下で「多少なりともマイナスの影響が出るとみている」という声も漏れる。

■昨年度、県内総額177億円超

 2016年度に佐賀県内の自治体に寄せられたふるさと納税(ふるさと応援寄付)は、合計で177億7606万円に上ることが佐賀新聞社の調べで分かった。前年度と比べ81億9652万円増(86%)で、制度が始まった2008年以来、初めて100億円を超えた。自治体別でも玄海町を除く県と19市町が前年度の寄付額を上回った。

 自治体別の寄付額を見ると、三養基郡上峰町が45億7329万円で最も多かった。最も少ないのは鳥栖市の412万円だが、前年度比では280万円伸びている。前年度から金額が最も伸びたのも上峰町で25億1150万円増え、唐津市が18億3946万円増で続いた。割合でみると、江北町が前年度比317倍と急伸し、唐津市19倍、鹿島市16倍、基山町9倍と伸び率が大きかった。(取材班)

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