蓮舫代表の後継を決める民進党代表選は、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。

 両氏は1993年衆院選で日本新党から初当選を果たした同期。その後も民主の風、新党さきがけなど同じ会派や政党を経て、民進党の前身である民主党の結党に参加、時期は異にするが、それぞれ代表、幹事長という党要職を務めた。

 憲法9条を対象とする改正への姿勢や共産党との選挙協力の在り方などで違いはあるものの、自民党に代わる政権をつくるという初当選時の信念は変えていないだろう。

 細野豪志元環境相という有力な将来のリーダー候補も離党するなど党は今、存亡の機にひんしている。両氏は初当選時の原点に戻り、徹底した議論を戦わせる必要がある。

 来年末の任期満了を待たない早期の衆院解散も想定される中で、論戦でまず焦点となるのは次期衆院選での共産党との選挙協力に対する対応だ。

 21日、立候補届け出後の記者会見で前原氏は「衆院選は政権選択で、理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と述べ、従来の路線を見直す考えを明確にした。一方、幹事長として昨年夏の参院選の改選1人区で共産党との協力に尽力した枝野氏は「一人でも多く当選させるのが大きな責任」として関係を維持する姿勢を示した。

 また、憲法改正を巡って前原氏が「安倍政権の下での憲法改正は反対だというのは国民の理解を得られない。政権を目指す政党として国の基である憲法の議論はしっかりと行っていく」と党内議論を進めていく方針を明らかにした。

 対して枝野氏は「民主主義を強化し、人権保障をより高め、国民の生活、経済をより良くする」のが改憲の目的とし、党内議論の結果、その必要性はなかったと述べた。

 これらの問題で、両氏の主張の違いは小さくはない。しかし、共産党との関係については枝野氏も理念、政策が違い、全面的な協力はできないことは認めている。

 また、憲法を巡っても憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認や安倍晋三首相が描く来年中の発議というスケジュールに反対であることは一致している。

 両氏ともに野党時代から安全保障や憲法の論客として活躍。枝野氏は98年、民主党などの野党案を丸のみさせた金融再生関連法の修正協議を主導、前原氏は2003年の武力攻撃事態法などの成立に当たって自民党との修正協議を担うなど実績を積んで政権交代に尽力した。

 今回の論戦では両氏らしく、お互いの主張のどこが決定的に違うのか、それは何に由来するのかをとことん突き詰めるべきだ。将来の分裂を恐れて議論を中途半端に終わらせてはならない。

 徹底的に議論を戦わせた上で、勝利した方が、新代表として、浮かび上がった相違点を乗り越えながら党を運営していくべきだ。それが遠回りのように見えても確実な再生への道となるだろう。

 民主党時代、「保守対リベラル」という対立を回避するため理念や基本政策の違いを放置し続けたことで、結局は離党者の続出や分裂、ひいては政権の座からの下野を招くに至った。

 そんな過去を、身をもって知る両氏が同じ過ちを繰り返すようなら民進党に未来はない。(共同通信・柿崎明二)

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