聖火が消され、熱狂に包まれたスポーツと平和の祭典が終わった。南米大陸で初めての開催となったブラジル・リオデジャネイロ五輪が17日間の幕を下ろした。

 日本選手団の活躍は目覚ましかった。柔道女子・近藤亜美選手の銅メダルを皮切りに、金、銀、銅メダルをつかんだ水泳の萩野公介選手らメダルラッシュが続いた。過去最多だった前回ロンドンの38個を上回る41個のメダルを手にした。中でも金メダルは12個と、3大会ぶりに2桁に乗せた。

 大逆転劇を演じた体操の内村航平選手、全階級でメダルを取った柔道の復活、世界を驚かせた陸上男子400メートルリレー、史上初の女子4連覇を果たした伊調馨選手らのレスリング、初の金メダルとなったバドミントン女子、96年ぶりのメダルをもぎとった男子テニス-。まさに筋書きのないドラマを見せてくれた。

 県勢では、強豪を相次いで撃破した7人制ラグビーの副島亀里ララボウラティアナラ選手の活躍が県民を沸かせた。金メダルが期待されたテコンドーの濱田真由選手は残念な結果だったが、この経験は次へつながるに違いない。

 大会を終えたインタビューで、4年後をにらんだコメントを残した選手も少なくない。卓球の伊藤美誠選手ら「東京世代」が、どのような活躍を見せてくれるか、期待は膨らむばかりだ。

 大会を通じて、リオ五輪に込められたメッセージははっきりしていた。「地球環境の保護」をテーマに、開会式で種から芽吹いた緑で五輪エンブレムを表現し、コンパクトな聖火台で二酸化炭素の排出量を抑えていた。南米の自然の豊かさとともに、環境を守っていく決意が伝わってきた。

 また、初めて結成された「難民選手団」は、五輪が掲げる理想をあらためて思い出させてくれた。困難な環境で自らの限界に挑戦する選手たちの姿は、五輪は参加することそのものに大きな意義があるのだと体現していた。

 だが、今回の大会を手放しで評価するわけにはいかない。緑色に濁ったプール、がらがらの客席、それでいて激しい交通渋滞。報道陣のバスへの銃撃、警備する国家治安軍の要員が撃たれて死亡するなど、運営の不手際が相次ぎ、特に治安はひどいありさまだった。

 ブラジルが直面する現実を世界に知らしめたという点では意味があるだろう。南米の大国であるブラジルでさえ、貧困と格差は解消せず、治安の確保に苦しんでいる。五輪の華やかさの陰に隠れがちな負の側面が浮き彫りになったとも言える。

 そして、ロシアによる国家ぐるみのドーピング問題が大きな影を落としたのも忘れてはならない。

 クリーンでコンパクトな五輪をどうやって実現させるか。東京へ引き継がれた課題は重い。

 閉会式で披露した日本のセレモニーは、東日本大震災の支援に対する世界への感謝の言葉から始まり、アニメや漫画など日本のサブカルチャーまで盛り込み、伝統とハイテクが融合する未来都市・東京を見事に表現してみせた。東京を世界に印象づけ、期待を高めるに十分な演出だったろう。“環境のリオ”に続き、東京は何を発信するのか。4年後へ向けて、横たわる課題に一つずつ向き合っていかねばならない。(古賀史生)

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