【共同】東日本大震災で宮城県東松島市立野蒜(のびる)小から同級生の親に引き渡され、津波にのまれ死亡した小3女児=当時(9)=の遺族らが市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審の判決で、仙台高裁(古久保正人裁判長)は27日、女児遺族への約2650万円の賠償を命じた一審仙台地裁判決を支持した。一連の津波訴訟控訴審で、高裁が学校や企業など管理者側の責任を認めた初判断とみられる。

■責任者来るまで保護義務

 判決は「事前登録した責任者が引き取りに来るまで、児童を学校で預かると決まっていた。女児を引き渡すべきではなく、学校での保護を継続すべき義務があった」とし、校長の過失と女児死亡との因果関係を認めた。

 学校側が女児を同級生の親に引き渡した判断の是非が主な争点で、高裁は「校長は女児を帰宅させると、生命または身体に危険が及ぶ結果を予見できた」と結論付けた。

 閉廷後、仙台市内で記者会見した遺族代理人の地主康平弁護士は、学校側は安全を確認した上で、児童を引き渡さなくてはならないというルールが明確になったと述べ「学校の過失を認めた意義は大きい」と評価した。

 この訴訟では、女児の遺族と別に、小学校の体育館に避難し死亡した住民女性=同(86)=の遺族も控訴したが、一審同様、賠償請求は認められなかった。女性の遺族は学校側の避難誘導に過失があったと主張したが、判決は、津波到達は予見できなかったと退けた。

 判決などによると、2011年3月11日の地震後、女児や住民は指定避難所だった同小に避難。女児は同級生の親が送り届けると申し出て担任教諭が認め、帰宅後、津波にのまれた。体育館では少なくとも18人が死亡、児童の犠牲はなかった。

 学校管理下で児童74人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小を巡る訴訟では、仙台地裁が学校側の過失を認め14億円余りの賠償を命じた。学校側と遺族側双方が控訴し、仙台高裁で係争中。

■野蒜小の津波犠牲

 東日本大震災時、校舎は海岸から約1・3キロ内陸の宮城県東松島市野蒜地区にあり、市指定の避難場所だった。震災で高さ約3・5メートルの津波が襲い、体育館に避難した約340人のうち少なくとも18人が犠牲になった。一帯は震災後、再び津波被害の可能性があるとして、住居の新築が厳しく制限される「災害危険区域」に指定されている。野蒜小は昨年4月、別の小学校と統合されて宮野森小となり、今年から内陸の高台に完成した新校舎に移った。

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