ロシアのプーチン大統領(左)と握手する安倍首相=27日、モスクワ(共同)

 【モスクワ共同=笠井信孝】安倍晋三首相は27日午後(日本時間同日夜)、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリン(大統領府)で会談した。北方領土での共同経済活動実現に向けて協議。優先分野を絞り込むため、両政府による合同調査団の北方四島派遣で合意したい考え。核・ミサイル開発を強行する北朝鮮対応を巡っては、挑発行動阻止へ協力を要請する意向だ。会談後、共同記者発表に臨んだ。

 首相としては、共同経済活動の具体化を通じ、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の進展につなげる狙いがある。両首脳の会談は17回目。

 会談に合わせて日ロ両政府は、都市開発や医療、エネルギーなど8項目の対ロ経済協力の具体的内容や実施主体を盛り込んだ作業計画を改定する共同声明を作成。世耕弘成ロシア経済分野協力担当相(経済産業相)とシュワロフ第1副首相が28日に署名する。

 首相は会談冒頭で「平和条約を含む2国間関係や安全保障問題、地域情勢について2人で話し合いたい」と強調。経済協力に関し「進展がみられる」と評価した。サンクトペテルブルクの地下鉄テロに触れ「断固非難する」と訴えた。プーチン氏は「日本はとても有望なパートナーだ」と述べ、日ロ関係が進展しているとの認識を示した。

 昨年12月の首脳会談では共同経済活動の実現に向けた協議開始で合意。今年3月、初めての外務次官級協議を東京で開き、漁業や観光、医療分野などで具体的な事業案を双方から提示した。

 今回の首脳会談では、事業案に優先順位をつけるため、各分野の専門家による合同の官民調査団を今夏にも北方四島に派遣することで一致する見通し。元島民による4島へのビザなし訪問に関しては、空路利用の開始で合意する方向だ。米ロが対立を深めるシリア情勢を巡っても意見を交わしたとみられる。首相はモスクワに27日午後、政府専用機で到着。28日には英国でメイ首相と会談し、30日に帰国する予定だ。

 【ズーム】日ロ共同経済活動 日本、ロシア両政府や民間が出資し、北方領土で共同事業をする構想。安倍晋三首相は「北方四島の未来図を描き、その中から解決策を探し出す『新たなアプローチ』だ」と説明。「平和条約締結に向けた重要な一歩」と位置付ける。ロシアが北方領土を実効支配する中、日本の法的立場を害さない制度が前提となる。日本側は両国の法律が適用されない特区などを念頭に置くが、ロシア側は活動が自国の法律に基づいて実施されるとの立場で、隔たりは大きい。

このエントリーをはてなブックマークに追加