臨時県議会で可決した再稼働「容認」の決議文(下)と修正前の文案(上)。県民理解に関する記述で、「概ね得られている」が「進んでいる」に書き換えられた

 「今の話をうかがい、違和感を禁じ得ない」。県議会の議場に山口祥義知事の声が響いた。25日に開会した議会人事を決める臨時県議会。前日の山口知事による玄海原発3、4号機の再稼働同意表明を受け、緊急質疑が行われた。

 「民意の反映機関である県議会であっても、『県民の理解』という心情の問題を多数決で測ることはなじまない」。こう問う議員に対して、山口知事は強く否定した。「県議会は本当に県民の意思を継ぎ、県民の思いに敏感になっていただいていると思っている」。13日に県議会が出した再稼働「容認」の決議を自身の判断の大きなよりどころとしたことを示唆した。

 「県民の代表である県議会の意見は極めて大切」と繰り返してきた山口知事。安全性の確保と住民の理解を前提に「再稼働はやむを得ない」との考え方だが、「広く意見を聞く」として答えは出さないまま11日に臨時県議会を招集した。

〈◆順序が逆〉

 最大会派自民党のある県議は、知事の手法に対する違和感を漏らす。「玄海町は町長が再稼働容認の姿勢を示した上で町議会の判断を仰ぎ、そして同意を表明した。知事は姿勢を明確に示さず、先に議会が意思表示をしろと。順序が逆だ」

 野党系会派の県議も疑問視する。「二元代表制の一翼を担う議会が果たすべき機能はチェック機能。それが民意の反映にもなる。それを先に判断しろとは…」

 先に判断の表舞台に押し出された格好となった県議会。重圧がのしかかったのか。「決議」という回答を模索する会派の動きに影を落とした。

 「再稼働の必要性が認められる」とする自民党がまとめた決議案。採決前日の12日にはほぼ文言は固まっていたが、当日朝、公明党が一部修正を要請した。

〈◆悪い先例〉

 「県民理解は、概ね得られているものと考える」

 公明党は自民案に賛成の方針を固めていたが、12日夜に「念のため原発から30キロ圏内の唐津、伊万里市の党市議に決議案を見てもらった」(中本正一県議)。「概ね得られている」との断定調の表現に難色を示す声が相次いだ。

 自民と政権与党を組む公明は、再稼働に関し「条件付き容認」のスタンス。一方で再稼働に不安を示す支持者が確実にいる。党の方針と支持者の思いの間で、より実態に即した表現にしつつ、国や事業者、知事に避難計画や安全対策の充実など厳しい注文を盛り込むことで折り合いを付けようと腐心した。その結果、「県民理解は、進んでいると考えられるものの…」と書き換えられた。

 「民意の反映機関として重視する姿勢は当然」。議会には、知事の中で議会の重みが増すことを素直に評価する声がある一方、チェック機能が緩むことを懸念する声もある。議会が知事の判断の露払い役となる。「悪い先例にならなければいいが」。ある議員がつぶやいた。

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