人類の三大敵は病気と貧困と戦争。戦争をやめ、その分のエネルギーと金を回せば病気と貧困を解決できる。それがなぜできないのか-◆101歳で亡くなったジャーナリスト、むのたけじさんは実際に戦争に従軍した記者だったから、言葉に説得力があった。自身の戦争責任をとりたいと、終戦を受け朝日新聞社を退社。故郷の秋田県で週刊新聞を発刊し、30年間、反戦記事を書き続けた◆昭和10年代、「戦争はどうだ、こうだ」ということを2人では会話できた。特攻基地へ行ってきた記者が「あんなもので勝てるわけはねぇな。いつまで持つか」。でも3人では話せない。ばれた時に誰がもらしたか分からないからだ。もれたら記者に突然、赤紙が来たりした。当時の空気を講演集『戦争いらぬやれぬ世へ』で明かしている◆「世の中がよくなる時は、宵の明星がポッ、ポッと光るように少しずつしかよくならねぇども、悪くなるときはあっという間だから、だから気をつけなさいよ」。そんな箴言(しんげん)を残したが、「人間は死ぬる時そこが生涯のてっぺん」として、配偶者を失った者でも、死んだ人を思いつつ、心の合う人がいたらもう一度2人、ペアになって生きなさいと励ます人でもあった◆根底に個人の尊厳を大切にする思想を持ち続けた人だと思う。反骨の、味わい深い人生だった。(章)

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