日本では現在、年間30万人ががんで命を落とし、国民の3人に1人ががんで亡くなっています。また、生涯のうちにがんにかかる可能性は、男性で2人に1人、女性は3人に1人と推測されています。

 厚生労働省の発表によると、2013年には3兆8850億円が、がん医療に充てられており、膨大な死亡者数と医療費を削減するために、早期発見・早期治療が喫緊の課題となっています。

 こうした状況に、変革が起ころうとしています。国立がん研究センター(東京都)などは、血液1滴で乳がんなど13種類のがんを早期発見できる新しい検査システムを開発しました。臨床研究が開始され、早ければ3年以内に国へ事業化申請する見通しです。

 これまで、一度に複数の種類のがんを早期発見できる検査方法はなく、導入されれば「夢の検査システム」と言っても差し支えありません。さらに、九州大学大学院生物科学部門の廣津崇亮助教らの研究グループは、がんのにおいに注目し、体長1ミリほどの線虫が、95.8%という高い精度でがんの有無を識別できることを突き止めました。

 廣津助教は長年、線虫の嗅覚を研究してきました。検査するのは人間の尿で、端的に言うと、1滴垂らした尿のにおいに線虫が好んで寄って来れば「がんの疑いあり」、嫌って遠ざかって行けば「がんの心配なし」となります。

 線虫を使ったこの検査方法は比較的安価で簡単。さらに、ステージ0~4まであるがんの進行度のうち、ステージ0や1といった早期がんも発見できるそうです。

 近い将来、がん検診が大きく変わる可能性があります。早期にがんを発見でき、がんにかかっても定期的な検査で再発の有無も確認できるようになると思います。(佐賀大学保健管理センター長・産業医 佐藤 武)

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