県内のレンコン作付面積と出荷量

レンコン作付面積が増加

 佐賀県の主力農産物レンコンの作付面積が増加を続けている。ここ数年、高単価が続いて他の作物からの転換が進んだほか、初期投資の負担が小さいことから新たに参入する若手も増えており、10年前の約1・5倍となった。ただ、右肩上がりだった単価は出荷量の増加とともに下落しており、さらなる需要の掘り起こしが課題になりそうだ。

 「物が要らない。『体一つ』に近いのがメリットだった」。昨年春にレンコン農家として新規就農した杵島郡白石町の平野康二さん(41)はこう語る。大阪府出身の元会社員。町が担い手確保のために始めた研修制度「しろいし農業塾」の案内をホームページで目にして応募、第1期生として移住した。

 現在は150アールで栽培。水路に面した適地を探す難しさはあったが、田んぼの水をせき止めるパネルを設置すれば、あとはポンプと収穫機を用意するだけ。大型のトラクターを購入したり、ハウスを建てたりする多額の費用はかからない。水の中での作業は重労働だが、収穫期が長いため、比較的自分のペースで仕事をできるのが魅力という。

 佐賀は茨城、徳島に次ぐ全国3位のレンコン産地。農林水産省が8月末に発表した統計によると、全国的には横ばいの中、県内の2016年度の作付面積は397ヘクタールで前年比7%増、出荷量は39%伸びた。

 11年の東日本大震災によって茨城産の流通量が減少。それまでほとんどなかった関東からも引き合いが強まり、単価を押し上げた。14、15年には肥大期となる7、8月の台風で収量が落ち、単価は1キロ当たり400円台後半に上昇。べと病によるタマネギ不作も重なって収益性の高いレンコンへの転換も進んだ。

 ただ、JAさが白石地区のまとめでは、16年産の単価は出荷量の増加に伴い、326円まで下落した。同地区園芸指導課は「以前の水準に戻った形だが、最近始めた人にとっては下がったという感覚が強まるのでは」と注視する。

 平野さんは、卸業者などを通じて東京のレストランなどにも出荷し、独自の販路を模索する。「レンコンは主菜じゃなく副菜。一般の消費を喚起する売り方も今後必要になってくるだろう」と話す。

 【写真】大阪から移住し、新規就農した平野康二さん。レンコン栽培は初期費用の少なさが魅力だったと振り返る=杵島郡白石町

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