涼を求めて、唐津市七山の樫原(かしばる)湿原に出かけた。標高600メートルを吹く風はひんやりとしていて、夕暮れ時のヒグラシの「カナカナカナカナ」という鳴き声がもの悲しい◆きょうは二十四節気の「処暑(しょしょ)」。暑さが峠を越えて、朝晩には涼気が加わってくる頃である。湿原に渡された板の通路を踏みしめながら深呼吸し、翼を広げたシラサギそっくりの「サギソウ」のかれんさに見とれる。佐賀市の中心部から車で、わずか1時間。佐賀で暮らす豊かさを実感した◆国内100都市を対象にした野村総合研究所の調査で、佐賀市が「暮らしやすさ」トップだったのも、うなずける。「医療機関や小売店数、飲食店数が多く、医療、買い物、飲食など日常生活の環境が充実」「生活コスト全般が安く、市民の日常生活の満足度が総じて高い」と評価されていた◆経済力は物足りないものの、ライフスタイル別に分析した「子育てしながら働ける環境がある」部門でも3位に食い込んでいる。地域コミュニティーがしっかりと息づき、働く人を支えている地域性が押し上げたようだ◆湿原を歩いて汗ばんだ後は、滝登りイベントで有名な「観音の滝」へ。滝つぼの近くへ降りると、水しぶきが舞い上がり、すっかり体が冷えてしまった。<処暑なりと熱き番茶を貰(もら)ひけり>草間時彦。季節が巡っていく。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加