小児がんの治療薬開発につながる研究プロジェクトを始めた佐賀県医療センター好生館の中川原章理事長

 佐賀県医療センター好生館の中川原章理事長(69)が責任者を務める国際研究チームが、小児がんの原因になる悪玉タンパク質の動きを鈍らせる物質を特定するプロジェクトを始めた。スーパーコンピューターのような演算システムを活用した膨大なシミュレーションで、3~5年後を目標に有効な物質を見つけ出し、新薬開発を目指す。

 小児がん患者は世界で年間約30万人に上る。医療の進歩で、発症から5年間生存する確率は約80%まで上昇したものの、神経芽腫や脳腫瘍など一部のがんの生存率は低いまま。成人のがんに比べると患者数が少ないため、新薬を開発しても採算が合わないとして、研究の動きが鈍かった。

 今回の研究は神経芽腫や脳腫瘍、腎芽細胞腫など6種類の小児がんを対象にしている。候補となる数百万種類に及ぶ物質の中から、どれが悪玉タンパク質と結びつくか一つずつシミュレーションし、活動を鈍らせたり止めたりする特性のある物質を探し出す。

 チームは好生館をはじめ、千葉大、京都大、中国の香港大、米国のコネチカット大の研究者で構成している。IBMが協力し、世界各地の協力者が所有するパソコンの余剰能力を束ねて超高速の演算能力を生み出すシステムを利用する。

 悪玉タンパク質の不活性化に有効な物質の発見は新薬開発につながる。中川原理事長は「小児がんだけでなく、大人のがん治療にも使える可能性がある」と意欲を見せている。

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