♪ハアー 年に一度は有田の街に 七日七夜の市が立つ 有田町のご当地ソング「有田皿山節」(野口雨情作詞)にうたわれた陶器市の情景だ。ゴールデンウイークの風物詩となった催しの起こりは、明治29年に開かれた陶磁器品評会である◆日清戦争が終わった翌年で、有田には不況の風が吹いており、技術開発や産地の意欲向上を願ってのことだった。蔵ざらえが始まったのは19年後の大正4年。提唱したのは有田窯業界のリーダーの1人、深川六助である◆名著『肥前陶磁史考』などによると、六助は佐世保の早岐で開かれていた茶市のにぎわいを見て発想したらしい。各商人の蔵には売れない在庫が山積みになっていたのである。「ほこりをかぶった商品を洗って出すのは面倒なことで、反対する人は多かった。説得したのも六助だった」。有田歴史民俗資料館長の尾崎葉子さんはそう話す◆品評会から数えて今年で114回になる陶器市がきょう開幕する。全国から多くの人が訪れ、最近は買い物に加え、ミニレジャーの色も濃い。トンバイ塀通りのカフェが定着し、グルメも年々、充実している◆有田の恩人ともいえる六助の銅像は陶山神社に立ち、陶器市の移り変わりを見守ってきた。変わらないおもてなしの心が出迎える。リュックと軍手を持って、そぞろ歩きをいかがですか。(章)

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