■議員活動に注目報酬引き上げ

 原子力発電所が立地する東松浦郡玄海町。原発関連産業や農漁業が主体の人口5793人(7月末現在)の町は若者の雇用の場がなく、人口減少が深刻さを増す。19日告示の町議選は今回から定数が2減の10となり、11人が立候補の準備を進め、8年ぶりに選挙戦となる見通しだ。議員報酬が引き上げられ活動にも注目が集まる中、議員たちは町のビジョンをどう描くのか。課題を探った。

 玄海3、4号機の再稼働準備が最終段階を迎える中、改選直前の9月定例議会で一般質問に立った議員は引退する共産議員ら2人。玄海原発1号機の廃炉に伴う地元振興策や緊急時の避難道整備などを問い、午前中で終了した。

 議員の「晴れ舞台」とされる一般質問だが、玄海町議会で昨年度に登壇した議員数は1議会当たり平均3・2人。同規模の吉野ヶ里町議会(定数12)は9人、定数10の大町町が6・7人、江北町6・2人、太良町3・7人をいずれも下回る。佐賀大の畑山敏夫教授は「町政の課題を掘り起こす一般質問こそ議員の肝。質問が少ないと町長と議員の二元代表制が損なわれる」と指摘する。

 「町民の代表である議会の判断は重要。うちの議会は行政に対してはもちろん、原発へのチェック機関でもある」。岸本英雄町長は再稼働同意をはじめ、議会の判断を受けて最終的な決断をしていると強調する。福島第1原発事故後の2011年6月、町議会は原発立地自治体として初めて玄海2、3号機の再稼働に同意、今年2月には改めて3、4号機の再稼働に同意した。

 再稼働に関してはヤマ場を超えたこともあり、町職員の一人は町議選について「人口減少などの課題をどう乗り越えるかが論点になるのでは」とみる。

 「日常の買い物が不便」「町内に適当な職場が少ない」。町が14年、15歳以上の町民を対象に実施した定住意向アンケートで、「住み続けたい」「どちらかといえば住み続けたい」とした人が65・9%と多かった一方、年代別に見ると10~40代で逆転し、「どちらかといえば住みたくない」と答えた人が最も多かった。

 ここ5年間で年約50件を維持してきた出生届は、昨年度は約半数の26件に激減した。住民福祉課の担当者は「はっきりした原因はわからない」と頭を抱える。ある議員も「以前取り組んだ婚活事業もなかなか結果が出ず、雇用を生み出す企業誘致も難しい」とこぼす。

 町内の20代男性は「変化を嫌う雰囲気があって、若い人は暮らしにくいかも。原発におんぶにだっこの現状は問題。原発以外の産業をつくることが大事だ」と主張、候補者の声に耳を傾けたいとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加