茶葉の炒り具合を確かめる生産農家。栽培時の負担低減が図れるため、生産に力を入れる農家も増えている=嬉野市の牛の岳モデル製茶工場

 嬉野市で生産される「うれしの茶」で、伝統製法の釜炒(い)り茶の生産量が伸びている。高品質で希少性が高く、独特の味わいが人気を集めており、2016年度は前年度比20・0%増の約31トン。この5年間で1・6倍に伸長した。主力の蒸し製玉緑茶に比べて品質を維持しやすく、栽培時の負担低減を図るため、農家が生産に力を入れていることも後押ししている。

 釜炒り茶は、摘んだ茶葉を高温の釜で炒る製法で作られる。黄金色で爽やかな香り、さっぱりとしたのど越しが特徴で、「注文は増えているが、生産量はまだ少なく、仕入れが追いつかないときもある」。製茶卸の徳永和久さん(38)=嬉野市=は最近の人気ぶりをこう語る。

 全国で産地として釜入り茶を生産しているのは嬉野のほか、熊本と宮崎だけ。東京の茶専門店は「関東の量販店にはまず並ばない。希少価値があり、リピーターもいる」と話す。

 西九州茶農業協同組合連合会によると、16年度に嬉野市内で生産された釜入り茶は30・9トン。加工段階の荒茶全体に占める割合は6・5%で、この5年間で11・5トン増えた。光を遮る被覆資材を使わずに露地栽培する二番茶が大半という。

 高品質茶の栽培では、新芽の成育中に1~2週間程度、被覆資材を使うのが一般的だが、釜炒り茶に加工する場合は、被覆しなくても品質に与える影響は小さいとされる。高齢化が進む生産農家にとって作業負担が低減されるため、JAも茶工場に機械の導入を進めて生産を後押ししている。

 徳永さんは「伝統製法による独特の味わいが見直されている。生産量が増えれば、さらに多くの消費者に提供できる」と販路拡大に期待する。

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