■参入急増補助金目当ても

 障害者が働きながら技術や知識を身に付ける就労事業所が、経営悪化を理由に廃業し、障害者を大量に解雇するケースが相次いでいることが22日、関係者への取材で分かった。7月には同一グループが運営する岡山県倉敷市と高松市の計7事業所で約280人が解雇された。名古屋市や関東地方で事業所を展開する企業も8月末までの廃業準備を進めており、さらに計100人前後が影響を受ける可能性がある。

 就労事業所を巡っては利用者数に応じて補助金を受け取れるため、事業の収益を確保できなくても参入できる構造がある。国はこうした状況を是正するため、4月に補助金の支給要件を厳しくしており、大量解雇に影響を与えた可能性がある。

 厚生労働省は各自治体を通じ、経営改善が必要な事業所の実態調査を進めるとともに、障害者が解雇された場合は、別の事業所へ引き継ぎを徹底するよう通知を出した。

 問題となっているのは「就労継続支援A型事業所」。障害者と雇用契約を結び、最低賃金以上を支払った上で、軽作業などの職業訓練をする。近年急増し、2016年度時点で全国に約3600カ所。佐賀県内には42カ所ある。運営者には国から障害福祉サービスの給付金として、利用者1人当たり1日5千円以上(定員20人以下の場合)などが支払われるほか、障害者の継続雇用に向けた助成金を受け取ることもできる。

 一方で、15年度に廃業したのは141事業所で前年度から倍増。公金頼みの事業所が少なくないとみられるため、厚労省は今年4月の省令改正で給付金から障害者の賃金を支払うことを禁じ、事業を健全化して、収益で賄うよう促した。

 倉敷市では、一般社団法人「あじさいの輪」と株式会社「あじさいの友」が運営する計5事業所が6月29日、障害者に1カ月後の解雇と事業所の廃止を突然通知し、7月末に223人を解雇した。同グループで高松市の2事業所も7月末に廃業し、59人が解雇された。大半は失業手当を受けながら、受け入れ先を探す。

 就労継続支援A型事業所 障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)に定められた就労支援事業の一つ。一般企業で働くのが難しい65歳未満の障害者に、働きながら知識習得や技術訓練をする障害福祉サービスを提供する。事業所は障害者と雇用契約を結び、原則として最低賃金以上を支払う。国からの多額の補助を目当てにした企業が参入し、報酬の不正受給や質の低いサービスなどの問題がある。雇用契約を結ばないB型もある。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加