■「開門なし」立場で

 国営諫早湾干拓事業の開門問題に関し、農林水産省は22日、開門せずに基金での和解を図るため、必要経費を2018年度予算の概算要求に計上する方針を明らかにした。これまで「関係者の合意をみない状況で基金は予算化できない」としてきたが、4月に開門差し止めを命じた長崎地裁判決に控訴せず、「開門しない」政治決断をしたことを踏まえ、初めて予算編成に反映させた形だ。

 国は2010年の福岡高裁確定判決で「開門」、13年の営農者らが開門差し止めを申し立てた裁判で「開門禁止」の相反する義務を課された。このため、17年度まで6年連続で開門の対策工事費用として概算要求では金額を明示しない「事項要求」をしてきた。

 国は4月に「開門しない」決断をし、関連訴訟の中で有明海再生のための100億円の基金による和解を目指す方針を示したが、現在、係属中の訴訟で和解協議は開かれておらず、見通しは立っていない。基金の予算化に関し、農水省の担当者は「開門を求める漁業者に対し、国として誠意を示すべきだと考えた」と意図を明かした。要求額は「最終調整中」としている。

 開門を求める漁業者側弁護団の堀良一事務局長は「国が確定判決に従わないと公然と言ってのけ、予算上でもそれを実行した。開門問題にとどまらない、安倍政権の普遍的な問題を含んでいる」と批判した。

 開門調査を実施するまで国が漁業者側に支払い続けている「間接強制」の制裁金の費用は、例年通り1日90万円の365日分に当たる3億2850万円を計上するとみられる。

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