「まちがい海岬」に「落とし穴の林」、人骨を見つけた「フランス人の洞穴」-。無人島に流れ着いた少年たちは、島の各所に名前をつける。ヴェルヌの名作『十五少年漂流記』(波田野完治訳、新潮文庫)は、14歳から8歳の少年たちの冒険物語。夏休みにわくわくしながら読んだ人も多かろう◆しっかり者のブリアンが「この島にもすばらしい名前がついた。ここで、大統領を選んだらどうだろう」と提案。「任期をきめておこう。たとえば1年というように」とドノバン。少年たちのやりとりには、民主主義の精神が根づいている◆安倍晋三首相率いる自民党の総裁任期は3年で、連続2期までしか認められていない。これをもう1期延長しようという動きが出始めている。安倍首相の任期はまだ2年以上も残っているのに、ずいぶん気が早い◆首相自身は延長への意欲を示してはいないものの、悲願の憲法改正や、2020年東京五輪を「自らの手で成し遂げたい」という思惑か。世論調査では「反対」が過半数だが、年内決着もささやかれる◆漂流少年たちは、年長のゴードンを大統領に選んだ。実は彼は人の上に立つのは苦手なタイプ。「僕たちの中で、いちばん考え深い人」と推されて引き受けた。ゴードンなら任期をどうするだろう。そもそも延長したいなんて考えやしないか。(史)

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