通行区分を守って自転車レーンを走行する人たち=佐賀市の天神橋交差点

 自転車ブームである。佐賀でもロードバイクをよく見かけるようになった。利用者が増えるにつれ、交通ルールやマナーを守らないという批判も目立ってきた。身近な交通手段で環境にも優しい自転車は、次代の重要な交通インフラだ。法令順守の啓発活動や専用道路の整備といったソフト・ハード両面での施策を一層進め、歩行者や車と共存できる仕組みを整えたい。

 まずハード面。事故防止には歩行者や車と物理的に分離する専用レーンの整備が有効だ。国土交通省と警察庁は2012年、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」をまとめ、専用道や通行位置の路面表示など「自転車通行空間」の整備を挙げている。

 各地で整備は進みつつあるが気になる点もある。歩道内にレーンを設置するケースだ。自転車は車両で、車道を走るのが原則。歩道に併設しては歩行者と間近にすれ違うし、店舗や家屋に出入りする車も多く、かえって危険な面もある。車道に専用レーンを設けるには拡幅工事や土地の買収など多大なコストがかかるし、車優先の思想設計であることは想像に難くないが、基本は車道に造るべきだ。

 もっとも、国交省は年1回、全国の市区町村を対象に整備計画の策定状況を調査しているが、財政難や住民の理解が得られず、思うように整備が進んでいないのが現状だという。ハード面の整備にはまだまだ課題が山積みだ。

 次にソフト面。交通安全教育の一層の充実はもちろんだが、加えて徹底してほしいのが「曲がる」「止まる」を周囲に知らせるハンドサインの励行だ。恥ずかしさが先立つのか、街中でサインを発している人はなかなかいない。周囲の状況を見聞きし、その情報を処理しながら運転する交通社会の中で、意思表示はとても重要だ。

 同じく格好悪いからか、ほとんどの自転車はバックミラーを付けていない。右後ろから近づく車の様子を確認するためにも、せめて右側にだけは付けてほしい。ファッション性を重視する人には、車体ではなく腕時計のように手首に装着するタイプもある。

 昨年6月に道交法が改正され、自転車でスマートフォンを見ながら運転して歩行者にぶつかるような安全運転義務違反など14の「危険行為」を繰り返したら、安全講習を義務付ける制度が始まった。佐賀県警が施行後1年間に摘発した危険行為は40件。講習を科されたケースはなかったが、無灯火走行での人身事故は発生している。

 私も自転車愛好者の1人。車や歩行者から煙たがられる存在ではありたくない。利用者一人一人は交通社会の一員という自覚を今以上に強く持って安全運転に徹し、快適に乗車できる環境を自ら切り開いていきたい。(森本貴彦)

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