「『何で私だけ助けてくれないの』と、(めぐみは)今日も、お月さまを見ながら泣くにちがいありません」―。北朝鮮による拉致被害者家族の横田早紀江さん(81)の言葉を読み返す。同じ月を見ているはずなのに、なぜ。わが子への思いに胸をつかれる◆15年前のきょう、当時の小泉純一郎首相が電撃的に北朝鮮に渡り、故・金正日(キムジョンイル)総書記との首脳会談に臨んだ。金氏は初めて拉致を認め、曽我ひとみさんら5人の帰国が実現した。これで一気に解決に向かうか、と期待が高まったが、時ばかりがむなしく過ぎていく◆当時は北朝鮮側にも窓口があり、交渉のパイプはつながっていたのだという。先日、小泉氏は「拉致問題が解決していない状況を心苦しく思っている」と打ち明けていた。「現在のトップは国際社会に耳を傾けていない」とも◆北朝鮮は、めぐみさんは死亡したとして誰とも知れぬ遺骨を差し出すなど、家族感情を逆なでしてきた。今は核実験とミサイル発射を繰り返して国際社会の制止に逆らい続けている。家族のいらだちは募るばかりだ◆日本政府が拉致と認めた人は、あと12人もいる。拉致の疑いがある特定失踪者も忘れてはならない。「めぐみがいなくなった食卓は、火が消えたようにひっそりとなりました」と早紀江さん。再び家族が食卓を囲む日を、と願う。(史)

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