記者会見を終え、一礼するヤマトホールディングスの山内雅喜社長(左)=28日午後、東京都千代田区

■再配達減へ割引制度も

 ヤマトホールディングス(HD)は28日、宅配便の基本運賃を9月までに改定し、荷物のサイズに応じて税抜きで140~180円値上げすると発表した。ドライバーの負担になっている再配達の数を削減するため、荷物の届け先を自宅ではなく直営店にすれば、1個当たり50円を割り引く制度を新設する。残業代未払いの責任を明確化するため、山内雅喜社長ら役員6人の月額報酬を6カ月間、5分の1~3分の1減額する。

 山内社長は28日の記者会見で、残業代未払い問題について「多くの社員に負担をかけ大いに反省している」と陳謝し、遅くとも7月には残業代の一時金を支払う考えを示した。運賃値上げは「社会的インフラとして継続するためだ」と説明し、利用者に理解を求めた。

 基本運賃の値上げは、消費税増税時を除くと27年ぶり。インターネット通販大手など宅配便取扱量の約9割を占める大口顧客に対しては、9月までに値上げや繁忙期の出荷調整を要請。2018年3月期の宅配便の取扱個数は、前期の約18億7千万個から8千万個減る見通しも示した。運賃値上げで18年3月期の宅配便荷物1個当たりの平均単価は前期の約559円から6%弱上昇し、採算も改善すると説明した。

 傘下の事業会社ヤマト運輸は、サービスの見直しを進めている。24日には宅配便の当日再配達の受付終了時間を午後7時に1時間繰り上げた。6月19日からは正午~午後2時の時間帯指定サービスを廃止。午後8~9時も取りやめ、午後7~9時の枠を新設する。

 宅配ロッカーは18年3月までに東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を中心に約3千台を設置。6月からネット通販の届け先として指定できる。18年3月までにロッカーから荷物を送ることができるようにする。

 ヤマトではグループの約4万7千人に残業代が適切に支払われておらず、サービス残業が横行。未払い残業代約190億円を支払うため、17年3月期連結決算で純利益は半減となった。

【一問一答】取扱量8000万個抑制/残業代7月までに支払う

 ヤマトホールディングスの山内雅喜社長とヤマト運輸の長尾裕社長の主な一問一答は次の通り。

◎基本運賃値上げの理由は。

 山内 (宅配便事業が)社会的インフラとして継続するためだ。(前回の)27年前と比べ社会環境が大きく変化している。(値上げ分は)労働環境の整備に充てていく。

◎なぜ残業代の未払い問題が起きたのか。

 山内 荷物の量が増えているのに現場に目が行き届かず対策が遅れた。遅くとも7月には支払えるようにする。

◎大口顧客に対する値上げは。

 長尾 宅配総量の抑制を含めて個別交渉し、9月末までに完了する。インターネット通販大手アマゾンなど約千社と重点的に交渉中だ。大口顧客の荷物抑制で2018年3月期の宅配便の取扱個数は8千万個減る。

◎再配達を減らす対策は。

 長尾 直営店で受け取る場合の優遇措置のほか、都市部での宅配ロッカー設置などを進める。(再配達増加の主因である)ネット通販はなくてはならない。どう下支えできるか考えていきたい。【共同】

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