午後8時を過ぎても、学校の職員室でプリントの添削をする女性教諭=中国地方

 トイレに行く暇もない-。文部科学省が28日に公表した調査結果は、かねて指摘されていた教員の過重労働を改めて示した。ただ、教員の一日を見ると、時間では計れない労働の「密度の濃さ」もうかがえる。目の前の子どもに全力を傾けることをいとわない教員たちだが「人を増やしてほしい」との訴えは切実だ。

 「おはようございます」。午前7時40分、中国地方の公立小の校門で、30代の女性教諭が集団登校してくる児童らをハイタッチで出迎えた。教諭の自宅は車で約1時間の距離。いつも午前6時半ごろに家を出るという。

 担任クラスの教室に入った瞬間、次々と提出される連絡帳や宿題。「先生、先生」。絶えず話し掛けてくる児童に笑顔で応じつつ、宿題を添削して朝の会に。午前8時50分、1時間目の開始を告げるチャイムが鳴った。

 クラスには発達障害で特別な支援が必要な児童もおり、休み時間を補習などに充てる。午後0時半に4時間目が終わると、すぐに給食の準備。片付けの指導も必要だ。

 昼休みは、児童から集めた算数のノートの添削で消えた。掃除や午後の授業を終え、下校する児童を見送ったのは午後4時ごろ。ここまでトイレに行く余裕もなかった。

 「子どもの成長につながる仕事は、苦とは思わない。ただ、今の教員数は学校を運営する最低限の規模。人を増やす金はないというので、努力で補っている」。放課後、教室の壁に児童が図工で描いた似顔絵を張りながら、教諭はこぼした。

 職員室に戻ってからも仕事は山のようにある。保護者からの電話対応や校外の関係者との連絡調整、残っていたノートやプリントの添削-。退勤は午後9時前で帰宅後も翌日のプリント作成などに1時間ほどを割く。「ブラック職場だとは思うが、やらないといけないことはやらないと」と疲れた表情で話した。

 「1日に学校内で休めるのは1、2分程度が5、6回」。こう話すのは愛知県の公立中に勤める40代の男性教諭だ。ある月の勤務記録では出勤は午前5、6時台、退勤は午後10時以降が目立つ。日付をまたぐ退勤もあり、休みは3日だけだった。

 校務主任として午前7時前から学校の見回りをするのが日課。不登校の生徒の家庭訪問のほか、教育委員会の調査やスクールカウンセラーら専門スタッフとの調整といった校務が多い。運動部の顧問も務め、放課後も遅い時は午後6時半まで練習、土日も練習や大会がある。

 「子どもにとって良いと思うからこそ、仕事は増えても減ることはない」と教諭。「ただ、人を増やしてもらえれば、校務に費やす時間は減るはずだ」【共同】

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