中国総体の新体操男子団体でチームメートを肩で支える江上駿祐(右下)=昨年8月、松江市総合体育館

昨年の全国高校選手権で3位に入賞した鳥栖工の吉原誉貴(左)。JR九州で日本一を目指す

いわて国体セーリング少年女子レーザーラジアル級で、風をよみがながら巧みにヨットを操る荒木陽菜=昨年10月、岩手県のリアスハーバー宮古

ともに龍谷大に進む佐賀女子の古賀菜々子(手前)と志波寿奈=佐賀市の同校

 全国高校総体や国体、選抜大会などで活躍した高校3年生のアスリートが卒業シーズンを迎え、新たな舞台へ一歩を踏み出す。さらなる高みを目指し、進学や就職後も競技を続ける選手たちの進路を紹介する。

■新体操

 江上(神埼清明)青森大へ

 昨年8月の全国高校総体男子団体2年連続準優勝の神埼清明。ダイナミックな組体操を下支えする役を担って見事に大技を成功させた江上駿祐は、その後もほぼノーミスの演技でチームを引っぱった。前年までは他の選手を飛び越える役目だったが、「3年生では下側をする大変さ、仲間同士の信頼関係を学んだ」と成長を実感する。

 幼少時は柔道に励み、準備運動の回転を得意としていた。それが三日月中でバク転に興味を持ち、人が見ている中で披露するのが楽しみに。中学3年の担任が神埼清明高新体操部の西川隆剛監督(当時)の同期だったことから声がかかった。

 存在さえ知らなかった男子新体操の世界だったが、柔道で鍛えた体幹の強さを生かし、2年生でレギュラー入り。初めて経験した全国選抜大会は団体3位だった。ずっと全国一を目指してきた3年間を振り返り、「中学の時と比べ、自分は変わったと思う。遊びを我慢し新体操をやって良かった」と充実した表情を見せる。

 卒業後は、1年生の時からの憧れである、全日本学生選手権15連覇中の青森大に進学する。「先を見すぎず4年間しっかり頑張り、大学日本一をとりたい」。将来の夢は、高校の先輩でもある田原丈嗣さんが所属する世界的エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」のパフォーマーだ。

 【その他の選手】

 県総体女子団体40連覇の佐賀女子は川久保佳奈が国士舘大、千葉理恵子が東女体大、富川栞が福岡大に進み、演技のレベルアップを図る。

■柔道

 男子個人81キロ級 吉原(鳥栖工)はJR九州

 昨年3月の全国高校柔道選手権大会男子個人81キロ級で快進撃を見せた鳥栖工の吉原誉貴。準々決勝はゴールデンスコア方式の延長戦で粘り勝ち。準決勝で全国総体2位の強敵にわずかな差で敗れたが、目標の4強を達成し「気持ち次第でここまでやれる」と自信を深めた。

 鳥栖市の旭小4年の時に柔道を始めて強豪の基山中に進み、小、中学で全国大会を経験した。鳥栖工に進んだのは通学しやすく、練習に時間をかけられると考えたからだ。同校はそれまで県総体で団体優勝がなく、友人は「なんで?」と首をかしげたが、父親からは「おまえが名門校にすればいい」と背中を押されたという。

 期待に応え、主将となった3年で、ようやく同校初となる念願の県総体男子団体優勝をつかんだ。1年時は3位、2年時は2位と悔しい思いをしたが見事に晴らした。

 2年の秋からは、同校ラグビー部主将で生徒会副会長だった3歳年上の兄に憧れ、志願して生徒会長も務めた。周囲は「柔道がおろそかになる」と反対したが、「責任感が出て、柔道部主将としてもプラスになる」と信念を貫いた。

 卒業後はJR九州に就職する。「目標は日本一。さらにレベルアップしたい」。高校で果たせなかった夢に、実業団のステージで挑む。

 【その他の選手】

 鳥栖工は副主将の山口将がアイシン精機(愛知)で競技に励む。全国総体男子個人63キロ級で16強入りした小城の相良宗知は鹿屋体大へ。おととしの県総体覇者、佐賀工からは双子の古賀優雅が皇学館大(三重)、大雅が山梨学院大に進学する。

■セーリング

 荒木(唐津東)、五輪見据え中央大へ

 昨年5月、唐津湾一帯を舞台に開かれたセーリングの「JOCジュニアオリンピックカップ」。女子レーザーラジアル級で2日目まで暫定3位につけた唐津東の荒木陽菜は、最終日の三つのレースで一気に逆転。冷静な艇操作で初の日本一をつかみ、表彰台の真ん中で満面の笑みを見せた。

 小学生の頃、唐津湾で練習する高校生の姿を見て、「風を自在に操って気持ちよさそう」と競技を始めた。小学5年から地元の玄海セーリングクラブに参加。アトランタ五輪銀メダリストの重由美子さんらに指導を受けて力を付け、高校に入ってからは全九州高校大会で3連覇を達成した。

 全国の舞台も長崎、和歌山国体など数多く踏んだ。日本代表にも選出され、アイルランドで開かれた世界選手権にも出場した。

 卒業後は、全国から有力選手が集まる中央大に進学。2人乗り競技「470級」への転向を視野に入れる。「ペアで息を合わせることが大切。1人乗りとは全く違った技術が必要になる」。大学日本一、さらにその先にある東京五輪を見据える。

■バドミントン

 志波・古賀(佐賀女子)龍谷大で技磨く

 全国選抜大会個人ダブルスで3位に入った佐賀女子のペアが、ともに龍谷大に進んで汗を流す。3年間、苦楽を分かち合ってきた志波寿奈と古賀菜々子。気心知れた二人は「強く、高いレベルでプレーしたい」と声をそろえる。

 志波は小学1年から競技に打ち込んできた。大和中時代には全国中学大会で個人ダブルス5位に入賞。小、中学校の先輩や姉の綾香の背中を追って佐賀女子に進むと、3年時は主将も任された。「責任を感じて大変だけど、やってきてよかった」と笑顔を見せる。

 古賀は小学校に入る前からシャトルを追いかけていた。城南中時代、技術が伸び悩んで競技を止めよう思ったこともあったが、「高校までは続ける」と発奮。県外から誘いを受けつつも佐賀女子を選び、2年で全国高校総体個人シングルス16強に食い込んだ。

 二人が進む龍谷大は、ユニバーシアード日本代表候補に選ばれた佐賀女子の先輩、毛利未佳や全日本大学選手権で優勝した下田菜都美ら有力選手が数多く在籍する関西リーグの強豪。試練もありそうだが、佐賀女子で厳しい練習に耐えてきた二人に怖じ気づく様子はない。「高校で成し遂げられなかった日本一」(志波)「団体のメンバーに入る」(古賀)とそれぞれ意欲を燃やす。大学で最高の瞬間を迎えるために、チャレンジする。

 【その他の選手】

 男子の唐津南で主将を務めた藤江尚也は宮島醤油に就職、社会人としてプレーを続ける。

■バスケット

 全国総体に出場した男子の佐賀北は、パワーフォワードの山内出海が久留米大で競技を続ける。冬の全国大会に出場した佐賀東で主将を務めたガードの坂本耕大は立命館大に、ガードの小松佳城とフォワードの山下龍は九州産業大にそれぞれ進む。フォワードの小寺巧真は強豪の白鴎大、ガードの野口大那は日本経済大でプレーする。

■ハンドボール

 昨年3月の全国選抜、8月の全国総体に出場した男子の清和。ライトバックの小野佑大が強豪・大阪経済大に進学。主将の森崎建斗、GK清原勇希、センターの野口凌と神埼のエース・黒田涼介は九州産業大で技を磨く。

■卓球

 県総体で頂点に立ち、全国総体で16強入りした男子・北陵の福島晃弘は福岡大で競技を継続。個人単複で全国を経験した敬徳の川原龍二は龍谷大で技を磨く。女子団体で県総体準優勝の清和でプレーした上野颯希は、熊本学園大に進んでレベルアップを目指す。

■空手道

 県総体の男子個人組手で2連覇を達成した龍谷の小杭浄海は龍谷大でレベルアップを図る。

 県総体の女子個人形を2年連続で制した鹿島の土井ゆりのは久留米大で競技を続ける。

■ラグビー

 全国大会に35年連続出場を果たした佐賀工は、U-18アジア大会3位メンバーのSO龍野光太朗主将が全国大学選手権8連覇の帝京大に進む。龍野とともに高校日本代表候補に選ばれたナンバー8永田義樹は日体大で腕を磨く。

 PR岡輝剛、CTB福士萌起、WTB江頭照悟の3人は関東学院大へ。PRの藤原裕基と馬場龍之は九共大、PR岩永幹也とSH津岡龍之介は拓大に進む。

 SH瀧石大翔は新日鉄住金大分製鉄所、CTB松崎圭吾は新日鉄住金八幡製鉄所(北九州市)、WTB甲斐翔太は大同特殊鋼(名古屋市)にそれぞれ就職してプレーを続ける。

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