基山町移動編集局・町づくりを語ろう会

 佐賀新聞社は基山町の地域振興をテーマに「まちづくりを語ろう座談会@基山」を開いた。商工業や町独自の創作劇上演、観光名所などまちづくりの第一線で活躍する6人と松田一也町長が参加。交通の利便性と歴史や文化、自然を備え持つ地域の利点を、定住促進や経済活性化にどう生かしていくか語り合った。                 

 ―町の有名人ばかりだと思うが、読者に向けてどういう活動をしているか伺いたい。

 西川 県の「子育てしたい県さが」の一環でさが地域ッズサポーターとして今年4月に赴任した。鹿児島県の徳之島出身。子育て世代と地域をつなぐパイプ役がミッションで、先日も基山モール商店街で流しそうめんをした。たくさん楽しいことを仕掛けたいと思っている。

 高橋 ダンススクールの代表をしている。縁があって、基山モール商店街の中に8月20日にスタジオを立ち上げた。町商工会青年部にも入っている。ダンスを勉強したいという需要はある中、町内にはスクールやイベントが少ない。昨年はダンスコンテストも開き、町民会館の大ホール800席が埋まった。ダンスで町を盛り上げたい。

 福永 きやま創作劇の総合制作を務めている。私は神奈川県出身だが、主人が基山出身で、こちらに移り住んで6年目。東京では芝居をしていて、こちらではそういうことが無縁だと思っていたところに話をいただいた。劇では町民さえ知らない町の歴史や文化を一つずつテーマとして取り上げている。子どもたちが芝居を通してそれらを学んでいる。

 鳥飼 農業法人「きやまファーム」を2015年に立ち上げ、オーストラリア原産の大型鳥・エミューの飼育や商品開発に取り組んでいる。肉は鹿肉や馬刺しのようでおいしいし、脂も化粧品などの分野で活用できる。現在は北海道から仕入れており、佐賀牛と同じくらい高級な素材となっているが、来年度以降は基山産を届けられる見込みだ。

 田口 父親から受け継いだ会社でメッキ加工というローテクをナノテクやハイテクにしようと取り組んでいる。商工会長だけでなく、観光協会会長、産業振興協議会会長にも就いている。町の商店は高齢化や後継者不足で疲弊が激しいが、オール基山で盛り上げようという機運を高めていきたい。

 神原 大興善寺の97代目住職を務めている。今でこそ「つつじ寺」として親しんでもらっているが、私の父がなんとか寺を活性化したいと裏山にツツジを植えたのが始まり。現代は娯楽も多様化しているが、ツツジは根強い支持層がいて、全国からお見えになる。寺は今年1300年を迎えるが、町長から火を付けられたので、さまざまな催しを開こうと準備を進めている。

 ―町長として皆さんの活動をどう捉えているか。

 松田町長 みなさんの活動は、アクティブな動きをもたらすものが多い。町が「良くなりつつある」という雰囲気を町内外に発信したいと思っていて、たいへん貢献してもらっている。実際にこの1年だけで、新婚世帯や家を建てた人など約200人が町外から入ってきた。みなさんの毎日の積み重ね、努力が町を支えている。これまで以上に町としても寄り添わせていただきたい。

 ―基山出身でない人もいる。外から入ってきたからこそわかる基山の魅力は。

 福永 住む前は周囲から「ど田舎」と言われていたが、電車もあるし、博多にも近い。都会でもないが、田舎でもない。あんばいがいい。近所付き合いの距離感が近いのも魅力的で、私には心地よい。神奈川で1人で暮らしたときは孤立状態で、仕事に行って帰るだけ。人との関わりという今の楽しさはなかった。

 西川 人の温かさは私も感じている。鳥栖から町内に引っ越した方に話を聞く機会があったが、「登下校などの見守りボランティアがいてくれるから、子どもを安心して送り出せる」と言っていた。近いところに必要なものがそろっているコンパクトな点もいい。

 高橋 ダンススクールを開いた場所は、元うどん店が入っていたテナント。厨房もあるし、改装に手間がかかるなと迷っていたら、商店街や商工会の皆さんから協力するという声があった。駅の近くで博多からのアクセスはいいし、コンビニもある。なかなかそういう良い条件の場所はない。近々基山出身者でダンスボーカルユニットを組んで、町のPR隊として売り出したい。

 ―根っからの基山の人たちは故郷をどう感じ、将来をどう考えるか。

 鳥飼 まとまりやすい土地柄。商工会青年部や青年団、消防団、区長などのつながりがあり、なにかする際にはパッとまとまる。自然もあって、活性化もしているのが一番の魅力。「ちょうどいいよねこの町は」と感じてもらい、「最終的にはここに住みたい」と思ってもらえたらいいと思う。

 田口 町には製造業の工場がたくさんあり、単身者も多いが一人住まい向きのアパートなどが少ない。私の社員も二日市や筑紫野に住んでいる。そういう改善点もある。けやき台の住宅団地に住む方たちが、ちょうど定年を迎えている。「自分たちの今までの経験を使えないかな」と思う人がたくさんいるのでまちづくりに巻き込む仕掛けが欲しい。

 神原 私からみると、60代ぐらいは働き盛り。90代で一人前で80代でも若いと言われる。60代ぐらいの方々が活躍する場所、活動する場所をどんどんつくって、力を出していただく雰囲気づくりも大切だと思う。基山は地の利がいい。観光から言えば秋月と組み、甘木鉄道をかませてそこまで鉄道を延ばせたらいい。地の利を生かした広がりを求めていってもらえれば。

 町長 みなさんの話を聞き、基山の「K」「Y」「M」を取って、3つのことが大事だと感じた。まず「K」は健康。ダンスやスロージョギング、キクイモ、エミューを生かしてぜひやりたい。「Y」は山。目標という山を自分でつくり、その達成に向けて官民で協働のまちづくりに取り組みたい。「M」はメモリー。皆さんの記憶に残れば、基山はいい町になる。子ども時代や恋人とのデート、子育て時期の遊び場など、何度でも来ることのできる、メモリーに訴える仕掛けをしたい。それが移住定住につながるかもしれない。

■出席者

・神原玄應さん(81)(大興善寺住職)

・田口英信さん(59)(町商工会長)

・鳥飼善治さん(59)(町商工会副会長)

・福永真理子さん(44)(きやま創作劇総合制作)

・高橋明果さん(33)(クールビートダンススクール代表)

・西川彩菜さん(26)(さが地域ッズサポーター)

・松田一也・基山町長

■進行

 澤野善文・佐賀新聞社編集局長 

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