日本人のクレジットカード情報が売買される「ダークウェブ」の闇サイト

■匿名化悪用 個人情報、麻薬など売買

 通常の検索エンジンでは見つからず、匿名化ソフトでのみ接続できるインターネットの闇の空間「ダークウェブ」の脅威が高まっている。麻薬、銃器、サイバー攻撃のツールなどが取引され、日本人の個人情報も売られている。各国の警察当局が警戒を強め、摘発に乗り出している。

■不正の連鎖

 黒塗りされた日本地図の上に浮かぶ日の丸。ダークウェブの闇サイトの一つに日本人の個人情報とみられる「商品」が並んでいた。名前、住所、クレジットカード情報などがセットで価格は10ドル(約1100円)。支払い手段は仮想通貨のビットコインだ。

 「最近、日本人の個人情報も目立つようになった」。デロイトトーマツサイバーセキュリティ先端研究所の岩井博樹氏は指摘する。運転免許証やネット決済サービスのアカウントと称する出品のほか、日本人の診療データを高値で買うという書き込みもあった。

 情報はサイバー攻撃を受けて漏えいしたとみられる。これらが他の犯罪者の手に渡り、次の不正行為につながる負の連鎖を生み出す。

■氷山の最深部

 ネットの全体像は氷山に例えられる。検索で見つかる一般サイトは「サーフェス(表層)ウェブ」、パスワードで守られる企業内データベースなどは、水面下の「ディープ(深層)ウェブ」と呼ばれる。氷山の最深部がダークウェブだ。「Tor(トーア)」といった匿名化ソフトを使って接続するため、発信元の特定が極めて難しい。犯罪者らはトーアの仕組みを悪用し、闇市場を形成した。

 イスラエルのセキュリティー企業「ケラグループ」は、本物そっくりにつくられたメガバンクなど日本の5銀行の「偽サイト」が、一つ約20ドルで販売されているのを発見した。個人情報の詐取に使われる可能性があるという。

 日本事業責任者のドロン・レビット氏は「日本は政府も企業もセキュリティー対策が遅れている」と警告する。同社はダークウェブのハッカー動向などを監視して日本企業に情報提供するビジネスを始めた。

■最大サイト閉鎖

 各国の警察は対決姿勢を鮮明にしている。米司法省は7月、タイやオランダの警察などと共同で、ダークウェブにあった世界最大の闇サイト「アルファベイ」を摘発し、閉鎖に追い込んだ。

 埼玉県警は6月、ダークウェブでの覚醒剤取引に関わる容疑で暴力団組員を逮捕した。日本でも違法取引に使われる事例が増えるのは確実とみられる。ある県警の幹部は捜査の難しさを認めつつ「わずかであっても犯人につながる手掛かりはある。サイバーパトロールの強化などを地道にやるしかない」と話した。【共同】

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