壇上であいさつする山口祥義知事。政治資金パーティーには1000人が出席した=佐賀市

 佐賀県知事1期目の任期が残り1年4カ月を切り、山口祥義氏(52)が自らの基盤固めを急いでいる。初の政治資金パーティーでは約1000人を集め、県全域での後援会立ち上げも進めている。「県民党」を掲げ、発信力や危機管理で一定の評価はある一方、前回知事選のしこりやオスプレイ配備計画への対応を巡り、自民党とは微妙な距離感もある。

 佐賀市で9日に開いた政治資金パーティー。「まだ52歳、皆さんの声を受け止めて頑張っていきたい」。山口知事は、会場を埋め尽くした支持者を前に若さをアピール。少子化対策や社会資本整備などに取り組む姿勢を強調し、2期目への意欲をにじませた。

 パーティー発起人には、井本勇元知事や中野吉實前全国農業協同組合連合会会長、指山弘養前県商工会議所連合会会長ら、県政財界の「重鎮」や幅広い分野の団体トップ計11人が名を連ねた。与野党の県関係国会議員をはじめ、多くの県議、首長も駆け付けた。

■分かりやすい

 「分かりやすい言葉で県民を一つにしている」「危機管理に強い」。あいさつした国会議員は一様に持ち上げた。ただ、出席した自治体関係者は「何もないときの現職はこんなもの。今後の政治決断次第では和やかムードも吹き飛ぶ」と今後の動向を注視する。

 山口知事は前職の国政転身へ向けた辞職に伴う2015年1月の知事選に、総務省を退職し出馬した。佐賀は両親の出身地ではあるが生活したことはなく、確固とした地盤がない中で農協の全面的な支援を受け初当選した。対立候補は官邸や自民党本部が後押しし、自民党県連は支持が分かれる保守分裂選挙となった。

 「いろいろありましたが、今は近しくていただいている」。対立候補を推した自民党国会議員のあいさつは、いまだ拭いきれない微妙な距離感を物語る。ある自民党県議は「選挙が終わればノーサイドだが、それぞれ気持ちの整理には時間がかかる」と推し量る。

 佐賀空港へのオスプレイ配備計画を巡る知事の対応にも不満がくすぶる。別の自民党県議は「どのような判断をしても不満は残る。大所高所に立った決断が必要」「事故で慎重なのは分かるが、早期決断を迫る決議を無視するようでは政治センスを疑う」と厳しい。

■15市町に後援会

 山口知事は現在、15市町で後援会を設立、首長や地元有力者が会長を務める。ただ、関係者は「県民党といっても政党のような実体はなく、組織力が十分ではない」と実働部隊の確保に不安を漏らす。

 知事就任から2年8カ月が過ぎたが、重い国政課題は積み残したままで、諫早湾干拓事業の開門問題は県の思惑通りには進まず、任期終盤にオスプレイや九州新幹線長崎ルートで重要な決断を迫られる局面も予想される。石倉秀郷県議会議長はパーティーで「行くも地獄、引くも地獄」とあいさつし、政治家としての決断力を求めた。今後の政治姿勢について、山口知事は「国策もそうだが、いろいろな意見がある課題が多い。愚直にまっすぐに、状況に応じた対応を開かれた場でやっていく」と語った。

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