厚生労働省は25日、認可保育所などに希望しても入れない待機児童の定義を見直す方針を固めた。保護者が育児休業中の場合は除外されるなど、自治体ごとに解釈が異なっている基準を統一し、実態を把握しやすくする狙い。9月にも検討会を設置し、年内に具体的なルールをまとめる考え。【共同】

 政府は2017年度末までの待機児童ゼロを目指しているが、定義見直しによって従来は集計に含まれていなかった「潜在的な待機児童」の一部が加わり、実現がさらに遠のく可能性がある。

 厚労省は不足している保育士確保のため追加対策も打ち出す。毎月の収入増につながるよう、賞与ではなく、基本給引き上げを実施する事業者に予算を重点的に配分することなどが柱。長期的な生活設計を立てやすくし、離職を防ぐのが狙い。

 昨年4月時点の待機児童数は全国で2万3167人。今年4月時点でも、ほぼ同じ人数だったことが厚労省調査で判明。一方で「保育園落ちた」ブログをきっかけに、潜在的な待機児童が約6万人いることも今年3月に明らかになり、保護者や自治体担当者から「各地の保育サービスの実情や地域差を反映していない」と定義見直しを求める声が上がっていた。

 厚労省の通知では、保育所に入れなかった子どものうち、保護者が育休中のケースは「集計に含めないことができる」と規定。自宅近くなど特定の保育施設だけを希望しているケースなども自治体の裁量に委ねている。

 待機児童が全国最多の東京都世田谷区(15年4月時点で1182人)は、保護者が保育所に子どもを預けられず、育休を延長したケースを集計に含めている。岡山市は本年度から特定の保育所を希望しているケースを加えたため、今年4月時点の待機児童が昨年に比べ5・4倍の729人になった。市は「実態に合わせて定義を変更した」と説明する。ただ自治体側には待機児童を少なく見せたいという意識が強く、裁量分を集計から除外しているケースがほとんどだ。

 ■待機児童 認可保育所などに入れる条件を満たしているのに、定員超過などで入所できない子どものこと。昨年4月時点の人数は2万3167人で、5年ぶりに増加した。厚生労働省は(1)親が育児休業中(2)特定の保育所のみを希望(3)親が求職活動を休止(4)東京都の認証保育所など自治体が助成する施設を利用-などのケースを待機児童から除外できるとしているため、自治体によって判断にばらつきがある。

=解説= 利用者目線で見直しを

 子育て世代にとって切実な問題だが、想像していたよりもはるかに高い壁にぶつかる-。希望しても認可保育所などに入れない待機児童の問題は、自治体ごとの実態が見えづらく保護者の不安や不信感を生んでいる。利用者目線に立った定義の見直しが求められる。

 子どもの預け先が見つからず、職場への復帰が遅れたり、離職を迫られたりするケースは少なくない。こうした事態を避けようと、待機児童の数を調べて暮らす地域を選ぶ家庭もある。自治体側も待機児童数が少なければ、子育て世代にアピールできる。

 ただ、厚生労働省が公表している全国約2万3千人に加え、保護者が育児休業中などを理由に除外されている「潜在的な待機児童」も約6万人いる。実に公表数の2・6倍に及ぶが、この数字は「保育園落ちた」ブログをきっかけに保育行政への批判が高まったことに押されて厚労省が明らかにしたものだ。しかも自治体別のデータは出ていない。

 見せかけの「待機児童」を巡り、自治体間で競争しても意味がない。厚労省は除外を認めている基準が妥当なのかを検証し、自治体の数え方にばらつきがないよう基準統一を急ぐべきだ。

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