米紙ニューヨークタイムズが「ミスター・ヌードルに感謝」と社説で取り上げた日本人がいる。チキンラーメンを発明した日清食品の創業者安藤百福(ももふく)(1910~2007年)である◆「即席ラーメンはお湯さえあれば神の恩寵(おんちょう)を受けられる。安藤は人類の進歩の殿堂に永遠の居場所を占めた」とたたえた。安藤は1958年のきょう、チキンラーメンを売り出した。高度経済成長のまっただ中で、忙しい時代にマッチした手軽さは消費者に歓迎された◆お湯をかけて3分で食べられる魔法のラーメンも、その開発には大変な苦労があったようで、試行錯誤の末、行き着いたのは「天ぷら」。天ぷらを揚げるときに具材に含まれる水分が抜けて細かな穴が残る原理を応用し、お湯で戻せる麺を作り上げたという◆「カップヌードル」誕生も面白い。即席ラーメンを売り込もうと米国を訪れるが、どんぶりがない。現地スーパーの社員が紙コップとフォークで試食する姿がヒントになった。伝記『時代を切り開いた世界の10人レジェンドストーリー』(学研教育出版)に詳しい◆チキンラーメン開発は48歳、カップヌードルは61歳。宇宙飛行士の野口聡一さんが食べて話題になった宇宙食ラーメンは91歳だった。「人生に遅すぎるということはない」。人生100年時代へのメッセージでもある。(史)

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