第2次世界大戦末期、1945年公開の「桃太郎 海の神兵(しんぺい)」は日本の長編アニメ映画だ。DVDが先日、米国で発売された。昨年、デジタル修復版が日本で公開され、米国の会社が北米での販売権を獲得していたという◆旧海軍省が松竹に作らせた白黒のプロパガンダ映画。狙いは戦意高揚だが、米国では「同時期に作られたディズニー映画にも引けを取らない」と評価は高い。姉妹編の日本初の長編「桃太郎の海鷲(うみわし)」(43年)には、佐賀市で少年期を過ごした持永只仁(もちながただひと)さん(19~99年)が製作に参加している◆龍谷中学出身の持永さんは、日中両国における人形アニメーションの創始者。人形を動かし1コマずつ撮る。コマがつながり動画になるという気が遠くなるような作業だ。以前見た彼の作品は、人形がまるで生きているように繊細な動きをするのに感心した。今、東京国立近代美術館フィルムセンターで、その作品、資料が見られる展覧会が開催中だ(9月10日まで)◆国産アニメが誕生し今年で100年になる。今や日本は世界に冠たるアニメ王国に。スタジオジブリの作品はもちろん、昨年は「君の名は。」や「この世界の片隅に」などが脚光を浴び、大人も楽しめる一大ジャンルだ◆持永さんら先人たちのまいた種は芽を出し、見事な花を多く咲かせ、次の早苗も育っている。(章)

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