産地の維持発展や農家の所得向上、地域貢献など経営ビジョンを語るJAからつの堤武彦組合長

 合併10周年を迎えたJAからつの新しい組合長に6月、堤武彦氏(64)が就任した。生産量日本一のハウスミカンや「佐賀牛」など、高いブランド力を誇る一方、中山間地も多く、産地の維持や農家所得の向上が今後の鍵となる。新組合長に今の思いや運営方針を聞いた。

 ■組合長に就任して2カ月。見えてきた課題は。

 多種多様な農畜産物の品目を抱える生産農協で、一部で後継者が育っていることを考えれば、まだまだ踏ん張れる。ただ、これからは産地として生き残りをかけた戦いが続くだろう。

 例えばハウスミカン。生産量日本一になったのは、個々の農家の努力のおかげだが、長らくトップの座にあった愛知県の生産量が大幅に減ったことも大きい。本年産の初競りで1箱100万円のご祝儀価格がついたのも、地道に粘り強く産地を守ってきたからこそ。技術継承や担い手育成が急務だ。

 ■JAの使命は、何より農家所得の向上にある。

 本所の看板に大きく掲げた「農畜産物販売額333億円」が究極目標だ。昨年度は291億円で、今年はタマネギの不作で落ち込むことが予想され、当面は300億円の大台突破を目指すことになる。福岡都市圏から多くの観光客が訪れる「唐津うまかもん市場」は重要な拠点になる。

 ■TPP(環太平洋連携協定)が今秋の臨時国会で再度審議される。

 米大統領選の行方もあって見通せない部分が多くなったが、農家は何度もたたかれながら強くなってきた歴史がある。政府に国内対策をしっかり求めていくと同時に、備えも必要になる。佐賀牛は他の高級ブランドと比較して数量を確保できる強みがある。輸出販路の開拓にも努力したい。

 ■「生産コストを1円でも安く」と、自民党プロジェクトチームが農薬肥料や生産資材の値下げを要求している。

 資材調達は生産者目線でJA系統にこだわらないという柔軟姿勢は必要だろう。すでに生産者の間でも農薬肥料を全量系統という人は少なく、商社系の扱いを増やすことも考えたい。畜産飼料については、管内でWCS(稲発酵粗飼料)用稲の作付けが広がっており、畜産農家の飼料の域内自給も進めたい。

 ■合併後10年で支所の統廃合など合理化も進めてきた。

 地域住民の生活を支えるのもJAの役割だと自負している。移動金融車を導入しているが、支所の大赤字を解消すべく、小さな赤字を抱えながら何とかやっているというのが実情だ。経費や人員の削減も徐々に進めてきたが、限界はある。金融事業などで利益を生み出さないといけない。

 ■広島、山口など他県では「1県単一JA構想」に向けた動きもある。

 以前にも合併の議論があったが、営農形態の違いなどから実現しなかった。一方、今後10年20年の人口減少の見通しを考えれば、必要という考えもあろう。今年中に方向性は示さなくてはいけないと思うが、熟慮を重ねたい。

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