■公表と情報秘匿で揺れる

 対応が後手に回ったことへの悔いがにじんでいた。昨年10月に報道で明るみになった高額窃盗事件で、佐賀銀行が28日に初めて開いた会見。最初の事件を公表していれば防げたかもしれない-。陣内芳博頭取の口からは、捜査情報の秘匿と、信用を守るための早期の情報公開の間で判断が揺れたジレンマが漏れた。

 陣内頭取は冒頭、40秒間にわたって深々と頭を下げた。箱崎支店の事件では、機械警備を解除せずに侵入した手口から「外部の犯行と考えていた。干隈支店の事件で、行員しか知り得ない鍵やカードを盗まれ、内部犯行と気づいた」と説明した。箱崎の事件の報告を一部幹部にとどめたことについて「福岡県警の強い要請もあり、忸怩(じくじ)たる思いをした」と吐露した。

 調査結果からは、セキュリティーの「抜け穴」が浮き彫りになった。行員だった吉田淳被告の資金流用やローンによる金銭借用は、顧客の了解を得るなど正規の手続きを踏み、検査をすり抜けている。カメラ付き携帯電話を支店に持ち込む行為は内規で禁じられているが、被告が所属していた福岡本部は対象から漏れていた。箱崎支店の通用口の暗証番号は、被告が勤務していた時期から1年近く変更されていなかった。

 事件を教訓に再発防止策には既に取り組み、行員への教育を徹底する姿勢も強調した陣内頭取。ただ、事件の全容は「(勾留されている)本人から全く話を聞けず、分からない部分もある」。金銭問題が見え隠れする被告がどのようにして窃盗グループと接点ができ、取り込まれたのか。核心にはたどり着いていない。

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