今では多くの人が「就職」をするが、江戸時代までは、大方の人が生まれいでた家の生業を、大人になってからの仕事にした。現代のように「職業」を選べるようになったのは明治維新後である◆昭和初期の就職難を描いた小津安二郎監督の映画「大学は出たけれど」には、卒業を控えて仕事を探す主人公の若者が登場する。大学まで出たから当然、立派な職があると高をくくり会社を訪ね歩くが、見事に撃沈。とうとう最初の、馬鹿(ばか)にして蹴った会社へ「第一歩から始めます」と就職する◆どんな職に就くにしても関門はあるのだが、まずはどこに挑むかである。気力を欠かさずに続けられるか、その職にほれることができるか、思い惑うだろう。大いに悩んで「解」を出してもらいたい。来春卒業する大学3年生向けの会社説明会がきょう解禁され、就職活動が本格的にスタートする◆日程は昨年と同じで、面接開始までが3カ月間の短期決戦である。しかし人手不足で企業の採用意欲は高く、「売り手市場」であるのは心強いだろう◆意中の仕事に就くため、人と競うのは骨の折れることだ。だが、選べる自由がある。就職難が深刻な社会問題となった昭和初期とはまた時代も違う。人生の分かれ道となるかもしれない今、自分を信じて臨もう。さあ本番だ!(章)

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