政府は20日、首相官邸で開いた働き方改革実現会議で、正社員と非正規労働者の不合理な待遇差をなくす「同一労働同一賃金」実現のための指針案を示した。正社員と同じ仕事をする非正規の賃金は「同一の支給をしなければならない」と明記し、賞与や通勤費などの手当の支給も必要だとした。政府は指針案に基づき労働契約法などの改正に向けた議論を進め、改正案を来年に国会提出する。

 安倍晋三首相は会議の冒頭「非正規雇用で働く方の待遇を改善し女性や若者などの多様な働き方の選択肢を広げたい」と述べ、同一労働同一賃金導入の意義を強調した。

 待遇差がどうあるべきかや基本給や手当など待遇全般について政府が具体的に記した指針案をつくるのは初めて。

 政府の考え方が示されたことで、企業は法改正の前に賃金制度や職場環境の見直しを迫られる可能性がある。一方で指針案は能力や成果、勤続年数の違いによる賃金差も容認しており格差がどこまで是正できるか不透明だ。

 指針案は基本給、賞与や通勤費などの手当のほか慶弔休暇といった福利厚生、派遣労働者など項目ごとに考え方を整理した。

 賃金の大きな比重を占める基本給は、金額を決める基準を「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」に分類。仕事の成果や経験に基づく賞与などの手当と同様に、職業経験などが同じであれば非正規も同一待遇とし、違いがあれば「相違に応じた支給にしなければならない」と基本給の待遇差を容認した。

 仕事の内容や成果に関わらないとして、通勤費や深夜・休日手当のほか、休暇や食堂利用などの福利厚生は同一待遇を明記。派遣労働者の待遇は同じ仕事をする派遣先企業の社員と同じにしなければならないと示した。【共同】

 ■同一労働同一賃金 同じ仕事をしている人には同じ賃金を支払うべきだとの考え方。安倍政権が、正社員と非正規労働者の格差解消を目指す政策として掲げている。厚生労働省の調査では、パート労働者の時給は、欧州ではフルタイムで働く人の7~8割なのに対して日本では6割弱に抑えられており、格差が大きい。政府は8割程度に引き上げることを目標としており、賃上げしたり非正規を正社員に転換したりする企業の支援にも取り組む。

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