大規模改修で洋式に改修された鳥栖市立田代中のトイレ。田代中では小便器は残されているが、今後整備する学校はなくす

■性同一性障害など配慮

 老朽化した小中学校のトイレ改修を進めている鳥栖市は、心と体の性が一致しないトランスジェンダー(性同一性障害を含む)の児童生徒にも配慮し、男子トイレから小便器をなくし、女子トイレ同様にすべて個室で洋式化する方針を決めた。佐賀県内で性的少数者(LGBT)を支援している団体「アオ・アクア」は「県内で学校のトイレにLGBTの視点が入ったのは聞いたことがない。多様な性を認める社会への一歩になれば」と歓迎する。

 整備済みの弥生が丘小と田代中を除く10校(7小学校と3中学校)が対象。普通教室棟と体育館を先行し本年度から2年間で6億5千万円かけて改修する。これまで男子トイレは小便器を残したままで、大便器だけを洋式化してきた。

 市教委は、ほとんどの家庭が洋式トイレであることや、男子の多くが学校で排便するとからかわれるとして大便器の個室に入りにくいと感じていることを理由に挙げた。便意を恐れて給食を食べない、学校に行けないなどの深刻なケースが見られるとしている。

 加えて、心と体の性が一致しないと感じる児童生徒は小便器を使いたくなくて我慢し排尿障害になるケースがあることも示す。LGBTの割合は約7%とする調査報告があり、左利きの人口と同程度とみられると説明している。

 3月に保護者と教職員に「個室化・洋式化」をアンケートで尋ねた。保護者は6割が賛成する一方、教職員の賛成は4割だった。市教委は「立って小用をしてトイレが汚れる、回転率が落ちて混雑する、などの懸念があるのかも」と推測し、指導により対応できると判断した。

 学校から性同一性障害などの相談は今のところないが、次の改修は数十年後になることも考慮した。

 アオ・アクア代表の原亮さん(21)=佐賀市=は「中・高校生の頃、トランスジェンダーの友達と集まると『トイレどっち』が定番の話題だった」と振り返り、「学校のトイレは入りづらくストレスを感じていたので、こうした配慮はうれしい」と期待する。

 マイノリティーの人権を研究している吉岡剛彦(たけひこ)佐賀大教育学部教授は「トランスジェンダーに配慮してトイレを改修する考え方に基本的に賛同する。ただトイレが男女に2分されている状態は変わらないので、抵抗感を完全になくすことができないということは留意しておくべき」と指摘する。

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