■現状ではやむを得ない 玄海原発再稼働同意の山口知事

 新生活がスタートする4月、唐津市の加唐島では小中学生3人が「島留学」を始めました。濱口真帆さん(10)、倖帆さん(7)姉妹は期待を膨らませます。

 「島での生活はとっても楽しみ。みんな優しくて友達になれた」

 熊本地震で、熊本県益城町から基山町に家族と避難して1年になる会社員樫本一成さん(45)の春は複雑です。このまま定住するか、帰郷するか、見極めには時間を要します。

 「簡単に答えは出ない。子どものことを第一に将来を考えたい」

 そんな中、復興行政のトップだった今村雅弘衆院議員(70)が、東日本大震災の被害を「まだ東北で良かった」と発言し、大臣を辞任。福島市から佐賀市に身を寄せている渡辺弘幸さん(55)は憤ります。

 「いったい何なんだ。また言うのか。やっぱり被災者の気持ちを全く分かっていなかった」

 自主避難者の帰還を「本人の責任」と述べ、批判を浴びたばかり。国の向き合い方が問われています。

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 鳥栖市がサッカーJ1サガン鳥栖のホームタウンになって20年。子どものころから応援してきた会社員井手直樹さん(29)は、記念の展示会で目を細めます。

 「2003年に3勝しかできなかった時のユニホームを見つけて、弱かったころを思い出した。今はJ1に定着し夢のようです」

 同じ20年でも、こちらは悪夢。潮受け堤防の閉め切りから20年になる諫早湾干拓事業を巡り、開門差し止めを命じた長崎地裁判決に国が控訴せず、開門を命じた福岡高裁の確定判決を履行しない事態に。

 「この20年間、ずっと苦しめられてきた。それに対して国は何の反省もない」

 堤防前での抗議集会に加わった太良町のタイラギ漁業者、平方宣清さん(64)は怒りをあらわにしました。「宝の海を子どもたちに」-。叫びは国に聞こえているでしょうか。

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 国策絡みでは、山口祥義知事が玄海原発の再稼働に同意を表明しました。

 「原子力発電に頼らない社会を目指すという強い思いを持ちつつ、現状ではやむを得ない」

 世論を二分する中での決断。安全性への懸念が拭えない中、知事同意の前に「容認」決議を賛成多数で可決した県議会にも、批判の矛先は向けられました。1歳の長男を連れて傍聴した北九州市の橋本加奈子さん(35)は問い掛けます。

 「事故が起きれば被害は県境を越える。今日、賛成した議員は責任を取ってくれるのか」

 なぜ、地方はこうも、しょい込まされるのでしょう。心躍る春なのに、課題だけが重くのしかかってくるようです。(年齢、肩書は掲載当時)

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