■資源価格回復と円安寄与

 2017年3月期決算を発表した上場企業の純利益が前期比で2・4%増え、過去最高益を更新した前期を上回るペースで推移していることが1日、SMBC日興証券の集計で分かった。資源価格の回復や昨年秋以降に為替が円安に進んだことで、商社や自動車の収益改善が目立っている。

 黒字転換が見込まれる石油・石炭製品などで発表が今後本格化し、好調を予想する見方も多い。企業業績の改善は景気回復を後押ししそうだが、海外動向に左右される懸念もある。

 4月28日までに決算発表した全体の約2割に当たる294社の業績をまとめた。製造業は3・9%の増益となった一方、非製造業は1・1%の減益だった。

 業種別では、自動車など輸送用機器が15・1%、化学が63・3%と大きく増えた。電気機器は19・7%の減益。ただ日本電産が「車載向けモーターは当面需要が見込める」(永守重信会長兼社長)として過去最高益だったように、好決算が期待できる企業もある。

 総合商社を含む卸売業は増益で、さらに利益幅が膨らみそうだ。前期は資源価格の落ち込みで三菱商事や三井物産などの大手が計1兆円を超える損失計上を迫られた。資源価格の回復を受け、事業環境が改善している。

 一方、海運業は世界的な市況低迷により赤字幅が拡大した。28日に大手3社の決算が出そろい、日本郵船と川崎汽船が過去最大の赤字となった。新日鉄住金など大半が決算発表を終えた鉄鋼も、原料高が響き0・9%の減益と振るわなかった。

 日興証券の太田千尋投資情報部部長は「全体的には増益基調だ。昨秋の米大統領選後に進んだ円安の効果は大きい」と分析している。

 東京証券取引所第1部に上場する3月期決算企業の全業種を原則対象に集計した。【共同】

<用語解説>円安と企業業績

 円安の進行は、国際展開する企業にとって円換算した海外の売上高が増加するほか、為替差益が生じて業績の押し上げ要因となる。一方、原材料や製品を輸入する内需型の企業には、仕入れコストが増えて業績にはマイナスとなる。2008年のリーマン・ショック以降に進んだ円高で自動車や電機など製造業の業績は大きく悪化。各社は為替変動の影響を避けるため、海外生産を拡大している。

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