521日の感謝の笑顔

 稲を刈るコンバインが山々に広がる田んぼで忙しく働いている。丸刈りの田んぼからは稲わらの香りが運ばれてきて、思わず目をつぶって鼻から吸い込む。長年連れ添わせてくれた犬がそこを走り回る姿を想った。

 星野道夫という写真家をご存じだろうか。アラスカに惹(ひ)かれて旅し、この上ない写真と文章を残した人だ。僕ら夫婦の生きる原点は彼にある。その写真展が長崎と久留米で開催され、時間を置いて双方を見た。『短い一生で心惹かれることに多くは出会わない。もし見つけたら大切に、大切に』その彼の言葉どおり、心の声に耳を澄ませて自転車で日本じゅうの暮らしを旅して回った20歳の青年が、旅の目的を達せられたので、三瀬を終点にしたいと戻ってきた。どんな生き方がしたいのか、どんな音楽が自分の音楽か、その姿を知ることができたと。次は大切な人を連れてきますと言って、北陸に帰っていった。彼の余韻が僕らをいつまでも満たしてくれている。(小野寺 睦・養鶏農家)

このエントリーをはてなブックマークに追加