九州新幹線長崎ルートの全線フル規格による整備に否定的な考えを示した山口祥義知事=佐賀県議会議場

 九州新幹線長崎ルートに関して、佐賀県の山口祥義知事は19日、長崎県やJR九州が求めている全線フル規格化について、多額の財政負担などを理由に「現実的ではない」と否定的な考えを示した。全線フル規格化を主張する武雄、嬉野市長が7月、県に対して、国に建設費の財政負担スキーム見直しを要請するよう求めていたが、これについても「働き掛ける考えはない」と明言し、佐賀県として全線フル規格化が選択肢にならないとの立場を鮮明にした。 

 同日の県議会一般質問で答弁した。

 山口知事は、全線フル規格化の場合、佐賀県の追加の実質負担が約800億円に上り県民1人当たり約10万円になることや、2060年までのJR貸付料収入が30年までの事業費に既に組み込まれている財源の課題を指摘。

 新たなルート選定で並行在来線問題が浮上する可能性も懸念し、全線フル規格による整備に否定的な見解を述べた。

 建設費の財政負担スキームでは、北陸や北海道など全国の整備新幹線が法律に基づいて整備されており、今後整備を期待している地域があることを挙げて「県内区域に限って地元負担が廃止されるような見直しが行われることは、ほとんど考えられない」と強調した。

 その上で「県としてフル規格を目指しているわけではないので、国に見直しを働き掛けることは考えていない」と答えた。

 整備新幹線の建設費は、全国新幹線鉄道整備法などで営業主体のJRと国、地元自治体の負担割合を定めている。現行では、JRの貸付料収入を充てた残りを国が3分の2、地元自治体が3分の1を負担する枠組みになっている。

 長崎ルートを巡っては、導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が安全性や経済性の問題で実用化の見通しが立っておらず、与党検討委員会がフル規格やミニ新幹線などFGT以外の方式も含めた整備方針の議論を進めようとしている。

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