ICT搭載重機の運転席で、掘る深さや面積が表示されたモニターを見ながら工事を進める作業員=唐津市相知町

 技術者の高齢化や担い手不足が深刻化している建設現場で、省人化や工期短縮につなげようと、ICT(情報通信技術)の導入が進んでいる。佐賀県内では本年度、国の発注工事8件に採用され、民間工事にも広がっており、業界は「3Kのイメージ払しょくにもつながる」と期待している。

 唐津市相知町の土木工事現場。ICT搭載重機の作業員は、運転席前方のモニターで掘る深さや面積を素早く確認した。測量図を3次元データに変換しており、予定地から少しでもずれた位置を掘ると、音が鳴る仕組み。勘に頼ることなく正確な作業ができるのが最大の強みという。

 工事を請け負う松尾建設(佐賀市)は約34ヘクタールの造成全てにICT搭載重機を活用。松尾真一工事作業所長は「重機の近くに人を配置する必要がなく、安全性が大きく向上。作業の効率化で残業も減った」と語る。

 同社は6年前からICT搭載重機の導入を模索し、現在は東北地方のインフラ工事2件でも採用している。土木工事本部の市村博幸副統括は「全体に対する比率はまだ高くないが、国交省発注工事ではICTを採用していれば落札の際に評価される。着実に増えていくはず」と話す。

 ただ、導入には課題も多い。一つは費用の高さ。ICT搭載重機は1台3千万円を超え、一般重機とは倍以上の価格差がある。

 ICT搭載のショベルカーやブルドーザーなど14台を所有している政工務店(小城市)の寺尾誠社長は「導入コストを考えると採算が合わない部分も多い」とする一方、「先行投資と考え、工事ノウハウなどを蓄積して10年後に元が取れればいい」と前向きだ。

 自前で購入するには割高で、導入効果に不透明な部分もあるため、レンタルで試そうという動きも。測量・設計や施工、管理にICT導入を進める国のアイ・コンストラクションの追い風があり、建機レンタルのニシケン(久留米市)は「ICT搭載重機のレンタル件数や売り上げは前年度比約2倍で推移している」と胸を張る。

 本年度、国交省が佐賀県内で発注したICT活用工事は国道497号工事など8件で、九州全体では107件。県も有明海沿岸道路の工事3件を対象に、ICT技術を盛り込むことを条件にした初のモデル工事の入札公告を始めており、県建設業協会は「県、市町の発注工事にICTが加点される仕組みが整えば、さらに広がるだろう」と期待を込める。

このエントリーをはてなブックマークに追加