共同通信社は1日、郵送方式で4月中旬までに実施した皇室に関する世論調査の結果をまとめた。天皇陛下の退位を巡る法整備の在り方について「皇室典範改正で今後の天皇も退位可能にすべきだ」と答えたのが68%に上り、「特例法で一代に限って認めるべきだ」の25%を大幅に上回った。「退位を認めるべきではない」は4%にとどまった。

 政府は今国会で、陛下一代限りで退位を認める特例法の制定を目指しているが、退位の恒久制度化を望む声が根強いことが改めて鮮明になった。

 調査は3月8日~4月14日に18歳以上の男女3千人を対象に実施。退位問題で、陛下一代限りの特例法の制定を政府に求めた国会見解が調査期間中の3月17日に正式決定した。期間後の4月21日、政府の有識者会議が特例法を前提とする最終報告を公表した。

 退位を巡る議論の対象外だったが、皇族減少の対応策として課題となっているのが「女性・女系天皇」や、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の議論だ。「女性天皇」に賛成したのは86%に上った一方、女性天皇と母方に天皇の血筋を引く「女系天皇」のいずれにも賛成したのは59%だった。女性宮家創設には62%が賛成で、反対は35%だった。

 女性・女系天皇や女性宮家の法整備に向けた議論の在り方には「退位を優先してその後」が61%で、「退位と併せて」は28%だった。

 安倍晋三首相は、皇位を安定的に継承する方策として、戦後に皇籍を離れた「旧宮家(旧皇族)」の復帰が選択肢になり得るとの考えを示したことがある。だが、旧皇族の復帰に賛成したのは22%にとどまり、反対は72%に上った。

 【注】小数点1位を四捨五入した。

■ なぜ特例法なのか見解を

 皇室に関する世論調査の結果からは、天皇陛下の退位を巡る法整備の在り方について、多くの人が皇室典範を改正し、今後の天皇も退位を可能とする「恒久制度」を求めていることが分かる。政府の「陛下一代限りの特例法」への支持は広がっておらず、安倍晋三首相は、こうした声も念頭に法整備を進める理由を明確に説明し、国民の理解を得るべきだ。

 今回の調査は、陛下一代限りの特例法の制定を政府に求める国会見解がまとまった時期と重なり、政府の有識者会議が特例法を前提とする最終報告を公表する直前まで行われた。

 メディアでは連日のように法整備を巡る報道が続き、調査対象者にとっても判断材料は多かったはずだ。それだけに、この時期に依然として、退位の恒久制度化を求めると回答した人が68%に上った調査結果は重い。

 特例法案を巡る国会審議は、与野党が国会見解をまとめた経緯もあり、論戦は期待できない。国民の総意に基づく象徴天皇の在り方はどうあるべきか。なぜ恒久制度を見送り、特例法なのか。安倍首相が法案審議を通じ、説得力のある見解を示せるのか注視したい。【共同】

【ズーム】 女性・女系天皇

 女性・女系天皇 125代続くとされる歴代天皇のうち女性天皇は8人。いずれも父方の血筋が天皇につながる男系の女性天皇で、母方が天皇につながる女系の天皇は例がない。女性皇族と、父方に天皇を持たない男性との間に生まれた子が即位すると、性別を問わず「女系天皇」となる。皇室典範は皇位継承を男系男子の皇族に限定。女性皇族は一般男性と結婚すると皇室を離れる。皇室に残り「女性宮家」を設ける場合、生まれた子は「女系」となるため、女性宮家の創設は女系天皇につながるとの反対論が一部保守層に根強い。

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