「こどもの日」よりも「憲法記念日」を祝う家庭だったと、児童文学作家のさとうまきこさんが書いている。父親は日本国憲法の作成に関わった憲法学者佐藤功(1915~2006年)。その日は「母が用意する夕食も、ちらし寿司など、ふだんよりも豪華なものでした」と、8歳の少女の記憶に刻まれた◆佐藤が1955(昭和30)年に出した『憲法と君たち』が昨年、復刻された。穏やかな語り口が聞こえてくるような文章である。子どもたちにも分かりやすいよう、家庭の決まりや学校のルールを「小さい憲法」と呼び、憲法の成り立ちや狙いをていねいにつづっている◆なぜ憲法が必要かという問いには、ローマに火を放った暴君ネロの例を取り上げて「どんな王様があらわれても、いつでも人民の、すべての人民の幸福が守られていなければならないということだ」と説く◆憲法はきょう施行70年を迎えた。改正が現実味を帯び、国会論議が続く。佐藤もまた、将来の改正にふれて、民主主義と基本的人権、平和の堅持を訴えている。日本人が誇るべきは「平和ということだ。日本は二どと戦争をしないということをはっきりきめたことだ」と言い切る◆佐藤はこう結ぶ。「憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る」-。日本国憲法の原点からの呼びかけに、私たちはどう答えるか。(史)

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