大阪府豊中市の国有地払い下げの問題で、国会が連日紛糾している。学校法人「森友学園」が小学校建設用地を安く購入できるように、政治家に働きかけをした疑惑が新たに浮上した。政府、与党は自ら解明に乗り出さないと国民の不信感は高まる一方だ。

 国は昨年6月、豊中市の国有地8770平方メートルを1億3400万円で森友学園に売却した。不動産鑑定の評価額は9億5600万円だったが、地中のごみ撤去を名目に8億円以上値引きしている。ごみの一部が敷地内に埋め戻されたとの証言があり、8億円を値引きした根拠が問われている。

 疑惑が大きく動き出したのが、自民党の鴻池祥肇(よしただ)参院議員が1日に行った記者会見だ。森友学園の籠池(かごいけ)泰典理事長が2014年4月、妻とともに議員会館を訪ね、現金が入っていたとみられる紙の包みを渡そうとしたことを明らかにした。鴻池議員は国有地評価額の引き下げの依頼であると受け止め、「無礼者」と現金を投げ返し、要請は断ったという。

 国有地が実際に8億円以上値引きされたことを考えれば、学園側がほかの政治家とも接触し、関係省庁に働きかけた可能性は十分にあると考えるべきではないか。

 これまでの国会審議を見ると、官僚たちの説明責任の放棄ぶりははなはだしい。問題の大きさをどれだけ自覚しているのか。売却交渉記録の開示請求にも「交渉が終わったので廃棄した」の一点張りだ。これが隠蔽(いんぺい)でないのなら、国の文書管理のルールは甘すぎるし、すぐに見直すべきだろう。

 国会で答弁しているのは後任の官僚たちだが、彼らが説明できないのは明らかだ。与党は拒否の姿勢を続けているが、財務省や国交省の当時の担当者や、森友学園の籠池理事長の参考人招致は必要だ。彼らから直接話を聞かなければ、真相には近づけない。

 安倍晋三首相は2日の参院予算委で、会計検査院の調査に協力するものの、総理総裁の立場から関係省庁や自民党所属議員の調査を指示することを否定している。

 しかし、鴻池参院議員の証言で政治家関与の可能性が出てきた。また、国民の財産である国有地売却で、国に損失を与えた可能性もあわせて考えれば、立証責任は野党ではなく首相側にある。

 この問題は、首相夫人の安倍昭恵氏が4月開校予定の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長を務め、学校建設の寄付金集めに「安倍晋三記念小学校」の名前が使われたことから注目された。

 安倍首相は「私や妻、事務所が関与していれば、首相も議員も辞める」と国会で答弁している。ならば、自ら調査し、問題をいたずらに長引かせるべきではないだろう。放置すれば、政権にとって命取りになりかねない。

 混乱が続く中、松井一郎大阪府知事は4月の開校について「ごみが埋まった状況では子どもの健康が守れない」と、不認可となる可能性を示唆した。当然だろう。

 そもそも、森友学園が運営する幼稚園は、戦前の教育勅語を暗唱させたり、運動会で「安倍首相頑張れ」と特定の政治家を応援するなど教育内容に疑問の声が上がっていた。大人たちの政治論争に、幼い子どもたちを巻き込んでいることを問題視すべきではないのか。(日高勉)

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