猛暑でゆがんだレールの復旧に当たる作業員=8月10日午後5時45分ごろ、杵島郡白石町福田のJR長崎線

 平年の1・5倍の降水量だった梅雨から一転、ほとんど雨が降らず記録的な猛暑が続いた今年の夏。エアコンなどの商戦は好調に推移し、海水浴場やプールは多くの人出でにぎわった。世界的にヒットしたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」では、若者の深夜徘徊(はいかい)や交通違反が社会問題に。農業では、夏野菜を中心に豊作傾向になる一方、コメは出穂期の水不足や高温障害が心配されている。2016年の夏を振り返る。

■気象 熱中症最悪ペース

 佐賀県内は梅雨明けの7月下旬以降、8月の終わりまで厳しい暑さが続いた。佐賀市では35度以上の「猛暑日」が12日間続くなど今夏は26日を数え、8月11日には最高気温が全国で最も高い38・1度を観測した。

 日本気象協会九州支社によると、「本州は天候不順で、全国最高気温の常連地域が暑くならなかった。好天に恵まれた九州が相対的に気温が高くなって全国一が相次いだ」という。

 8月の最高気温の月間平均は35度前後が見込まれ、平年の32・5度を上回る見通し。梅雨明け後、夕立を除いて終日雨になったのは8月28日だけだった。

 酷暑で熱中症患者も急増した。県健康増進課によると、熱中症の疑いで救急搬送された人は30日現在で572人(6月1日以降)。統計を取り始めた2009年以降で最多の13年を上回るペースになっている。

■レジャー 海水浴場など堅調

 暑い日が続いたため、観光関連は水のレジャーを中心に堅調に推移した。

 唐津市中心部の4海水浴場の人出は約5万7800人。市観光課は「海の家に聞くと、昨年より人出が多かったようだ」と話す。嬉野温泉は全体の売り上げが前年を超え、旅館組合の池田榮一理事長は「海水浴客やプール利用者が宿泊してくれた」と振り返る。

 熊本地震を受け、九州観光を国が助成する「九州ふっこう割」が実施されたが、唐津市旅館協同組合の都市右太雄理事長は「恩恵は少なかった」。一方、県と人気アニメ「おそ松さん」との共同イベントでは、唐津市の限定グッズ店に目標の倍の約2万人が訪れた。

 夏休みを利用し、熊本地震の被災地でボランティア活動をした人も。「佐賀から元気を送ろうキャンペーン」事務局によると、参加者は南阿蘇鉄道の草刈りや保育所でのふれあい活動で汗を流したという。

■商戦 エアコン販売1.4倍

 エアコンの売れ行きが前年の1・4倍になるなど季節品の販売が好調だった。ボーナス商戦に猛暑が重なり、消費を下支えした。

 エディオン佐賀本店は、6、7月のエアコンの売り上げが前年比20~40%増。気温25度以上の熱帯夜が続き、「寝室などに増設する客が多かった」と話す。例年は需要が落ち着く8月も客が絶えず、人気商品の在庫が不足する店もあった。

 ディスカウント店のダイレックスでは、7月から飲料水とアイスクリームの売り上げが20~30%増えた。氷菓メーカーの竹下製菓はピーク時、工場の稼働時間を通常の倍の16時間にして対応した。

■ポケGO 深夜徘徊8人補導

 国内でのダウンロードが1千万件を超える大ヒットになったスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」。アイテムを獲得できる「ポケストップ」周辺の飲食店で売り上げが伸び、電器店ではスマホの携帯バッテリーが前年同月に比べて2倍売れた。

 一方、ポケモンが現れる公園周辺などで、深夜の騒音や渋滞を巡る問題も起きている。乗用車やミニバイクの運転中にゲームをしたとして、道交法違反(携帯電話使用)で摘発されたケースは6件で、深夜徘徊(はいかい)では少年8人が補導された。

■農作物 露地野菜中心に豊作

 晴天続きの影響で、露地野菜を中心に豊作で、市況にも値頃感が広がった。

 佐賀青果市場(佐賀市)では、キャベツは前年比約2割安、トマトが13%安、キュウリが24%安と、軒並み安値傾向になった。島登士治総務部長は「悪天候で高値だった昨年の反動。ここ数年、異常気象が続いていて、いつが平年だか分からなくなった」。

 実りの秋に向けて水不足の懸念もある。主力品種「さがびより」の出穂期を控え、武雄市の繁昌ダムと庭木ダムの取水が制限された。農林水産省は今のところ、県内産水稲の作柄は「平年並み」と予測している。

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