自らの経験をもとに、学習障害への理解について講演した南雲明彦さん(右)=神埼市千代田町のはんぎーホール

 発達障害の児童・生徒への理解を深める講演会が、神埼市千代田町で開かれた。学生時代、読み書きに困難が伴う読字障害(ディスレクシア)という学習障害に悩まされた南雲明彦さん(31)が過度な配慮が生むマイナス面を指摘し、市内の教師やPTA、地域住民ら約350人が望ましいアプローチを考えた。

 通信制明蓬館(めいほうかん)高校(福岡県)の共育コーディネーターを務める南雲さんは「障害者への『配慮』は『遠慮』につながる側面がある」と問題提起。社会の理解が進み、教育的支援が充実する一方で「学習障害ということで言葉を選んだり、接し方が萎縮してしまっていないか」と投げ掛けた。

 ディスレクシアは文字がゆがんで見えたり、鉛筆と紙との距離感がつかめず文字が書きづらくなったりするという。南雲さんは21歳の時に自らの障害を知るまで周囲の友人との違いに悩んだが、「おかげでノートを貸してもらったりして生まれた交流がある。大人の目が届かない領域が友達同士にはある」と指摘。教育的支援を受ける代わりに、友達との心の底からの交流が失われる可能性に触れ、「安全な所で手を放すことも大切では」と訴えた。

 障害により支援を受けるだけの対象として見られがちだが、南雲さんは学級委員長を任された経験を紹介。「読み書きが必要なく、仕切れば良かったから意外に楽だった。さりげなく役割をもらってうれしかった」といい、「『障害のある子にはこう接する』という決まり切ったものでなくていい。先生にも個性がある。お互いが本音で話す機会が子どもたちの豊かな成長につながる」と結んだ。

 講演会は神埼市が主催した。市内の小学校に勤める久米麻美さん(23)は「心と心で関わる大切さを改めて感じた。子どもの気持ちを一番に考えることを心掛けたい」と話していた。

このエントリーをはてなブックマークに追加