県有明海漁協南川副支所として計画に反対していることを改めて表明し、報道陣の質問に答える田中運営委員長=4月26日、佐賀市川副町の同支所

3日間の説明会を終え、記者の質問に答える九州防衛局の川嶋貴樹局長=4月28日、佐賀市川副町の県有明海漁協広江支所ノリ集荷場

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を巡り、防衛省が4月下旬、空港西側の駐屯地予定地の地権者を対象に3日間開いた説明会は、漁業者を中心に反対の声が相次いだ。根底には、諫早湾干拓事業など公共事業に対する国への不信感が横たわる。防衛省側は「当初の腹づもり通りにいっていない」と計画の遅れを認めつつ、隣接地取得や賃借など用地交渉の一端を見せて事態打開を手探りする。参加者の中には売却に応じる声もあり、先行きは見通せない。

 「諫早関係のことが(説明会と)同じ時期に起こっている。タイミングが悪い」。説明会最終日の4月28日、九州防衛局の川嶋貴樹局長は、国が25日に諫早湾干拓事業で「開門しない方針」を表明した直後だったことを自嘲気味に語った。

 ▽反対大前提

 説明会は空港西側一帯約90ヘクタールの地権者約550人を対象に、佐賀県有明海漁協の南川副、早津江、大詫間、広江の4支所で開き、計262人が参加した。防衛省の開発予定地33ヘクタールを所有する南川副と、早津江、大詫間の3支所が計画反対の旗印を鮮明にした。

 南川副支所の田中浩人運営委員長は、自衛隊との共用を否定する公害防止協定の存在や、ノリ漁への影響、機体の安全性など反対理由を列挙した。「条件闘争もない。反対というのが大前提」と言い、今後は同様の説明を受けるつもりはないと断言した。

 一方、漁協の徳永重昭組合長が運営委員長を務める広江支所は「意見を取りまとめる必要がある」として賛否は示さなかった。

 各支所が反対の姿勢を強めている中で「賛成は言い出しにくい」(県幹部)との指摘もあり、賛否の実像をつかむのは難しい面もある。川嶋局長も賛否の印象を、「全員が発言されたわけではないので、多いか少ないかはよく分からない」と答えるにとどめた。

 ▽追い風

 実際、参加者によって考え方に違いがある。ノリ漁師の男性(61)は「1回の説明で賛否は言えない」。元ノリ漁師の男性(72)は「ノリをしていたら反対だろう。漁業をしていない人は土地だけ持っているなら処分した方がまし」と言い、別の70代男性も「個人的には売ってもよかばってんね」と本音を漏らす。

 ただ、現役のノリ漁師から反対の声が相次いだのは事実。反対住民の会代表で地権者でもある古賀初次氏(68)は「われわれは海が仕事場。ノリ漁業者の反対の声を聞いたときは心強いと感じた」と語り、漁業者の反応を反対運動への「追い風」と感じている。

 川嶋局長は「強制収用はしない」と明言し、地権者の了解は計画進展の条件に変わりはない。県幹部は「(反対は)ある程度予想されていたが、無視することはできない」と知事判断への影響も示唆する。

 今後は、昨年12月の沖縄・名護沖の米軍機大破事故の最終的な報告が防衛省を通していつ説明されるかが焦点となる。山口知事は「原因究明と説明」を議論の前提に位置付けている。間もなく事故報告が出されるとの見方もある。6月県議会は、8月末の政府予算の概算要求締め切りを見据えた議論になるとみられ、注目される。

 ■佐賀空港オスプレイ配備計画 防衛省は佐賀空港西側に陸上自衛隊の駐屯地を新設し、新型輸送機オスプレイ17機を2018年度末以降に順次配備。目達原駐屯地(吉野ケ里町)のヘリコプター約50機も移駐する。離島防衛の部隊として陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)に置く水陸機動団の輸送が主な目的で、隊員は約700~800人。駐屯地の広さは約33ヘクタールで隊庁舎や格納庫、弾薬庫、駐機場などを整備する。

=オスプレイ配備の先に=

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